たけき夏アニメーション

ミッドサマーのたけき夏アニメーションのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

#ミッドサマー見たよ

究極のインスタ映え映画だ!
モチーフの全てが映えすぎて、これは間違いなく流行る。
多分コラボカフェとかが新しいパルコとかに開かれて、悪ノリ半分のくまさんメニューとかお花メニューや、あの相合傘みたいなタワーの立ったパンケーキとかが提供されるだろうし、応援上映もいよいよやるんじゃないかって気もする。ふざけ半分で開催して、本当に裸になるやつとか出てきて欲しい。


まがりなりにも、奇祭に巻き込まれて、逃げるに逃げられない!なサスペンスの型はとっているはずなのにこの同化具合。
なぜかってそれは、ノリ(と不思議な草の力)に圧倒されて、もうこれは逃げるとか以前に、乗るしかないんだ、この祭りのビッグウェーブに!
『ヘレディタリー』でいうところのペイモン・タイムが映画の半分くらい延々続く!

カルト村映画における「この村の村民はどの程度この奇祭を本気で信奉しているのか?外部への漏洩防止のため部外者をどの程度縛るのか?村関係者だけど一応文明サイドの友達のアイツのスタンスは?」問題においては、隙がないとは言わないが上手いことあのノリでごまかせてる。
一瞬たりとも観客を冷静にさせないほどに狂気のもてなしが詰め込んであるからこその賜物だ。


奇祭の高揚はもとより、
不思議な草を吸引した時のパラノイア&視線の端微妙にグニャグニャ描写が超リアルだった。
たしかにあの状態なら流されるがままに狂った祭りのビッグウェーブに乗っかってしまう気持ちもわかる。
先日、乾燥五枚葉のハッピー・バッズと偽られ、(おそらく)危険ドラッグハーブを吸引してしまい、静かなパニックとパラノイアで苦しんだのだが、それに非常に近い感覚が視覚・聴覚化されていたように思う。
あまり詳しくはないから適当に言うが、所謂葉系のドラッグトリップ描写に凄く誠実な映画だと思う。


アリ・アスターは、信じがたい程の不幸だったりそれに伴うメンタルヘルスの問題を、更なる”祝祭を伴う惨劇”の成就によって克服する作品を撮っているが、
「ラストで全てが昇華されたように見えた主人公ダニーも、これからはカルト村コミューンでのまた新たな共依存関係が待っているかもしれない」というティーチインでの監督の言葉が恐ろしかった。


『ヘレディタリー』の時もそうだったが、監督視点で見るとこの映画創作自体が監督のトラウマの治癒としての「全滅箱庭療法」になってはいるのかもしれないが、つくづく登場人物本位で見ると煉獄のような作風だぜ!

俺も『ヘレディタリー』にめちゃくちゃ影響を受けて、自分のトラウマを再現し、作中ラストでは自分に甘えを与える(ここはアリ・アスター作品と少し違う笑)という箱庭療法演劇を作らせてもらって、少し生きるのが楽になったんだ。

ありがとうアリ・アスター。
確実に現代で主要な大作家の一人だ!