Mikiyoshi1986

ミッドサマーのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.7
観賞後は暫し「さ…最高だった……」という感想しか浮かんできませんでした。

ルカ・グァダニーノ版『サスペリア('18)』でも思ったけど、やはりパゾリーニのDNAは現代にもしっかり受け継がれているんだと安堵。
前作『ヘレディタリー/継承('18)』のラストみたく、アリ・アスター監督は本当にこういうのが大好きなんすね!

夏至のスウェーデンで執り行われる90年に一度の狂喜(not狂気)の祭典!
北欧土着の因習を垣間見、白昼夢と白夜が渾然一体するトランス状態へ我々も知らぬ間に誘われ、
伏線のすべてが期待通りに進んでくれるこの上ない充足感、そしてある種の達成感にも包まれながら最後はもう胸が一杯に。

テーマとコンセプトは静観すると誠にしょうもないものだったりしますが、「映画」としてはお世辞抜きで非の打ち所のないほど素晴らしい出来栄え。
あの『ベニスに死す('71)』の美少年タジオのその後も観れて嬉しかったしね。

日本映画でいうところの宮川一夫のようにベルイマンの名画を数多く撮り、タルコフスキー監督の遺作『サクリファイス('86)』を撮り、ラッセ・ハルストレム監督『ギルバート・グレイプ('93)』を撮ったスウェーデンの名撮影監督スヴェン・ニクヴィストがもしもご存命だったとしたら、
本作も確実に彼へオファーが来ていたに違いない、最高の"生け贄"ムービーで御座いました。
愛すべき主人公ダニーへ、心から祝福を。
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