あゆ

ミッドサマーのあゆのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0
軽くネタバレあるのでみてない人はご注意!


伏線回収はわかりやすくできてる。
戸惑いながらも順応していく主人公が微笑ましい。わたしたちは、誰にも見られずに静かに、時にはすきな音楽を、時にはテレビをつけたままセックスできることが超幸せだ。あのシーンは笑いが起きた、クスクスみんな笑ってた。腰の動きを助長するところなんてもう声出して笑ってる人もいた。わたしたちは幸せ!でもそれってそんな世界があることをすでに知っているからなんだな〜。

人々が一斉にブーイングしたり、怒り狂うところはジョージオーウェルの1984を連想させた。隣で観ていた人は北朝鮮みたいって言ってた。が、仕切る人はいても独裁者、のような人物はいなかった(いたのかな?)ように思えたけど、隔離された空間と伝統がそれを担っているような、「おかしい」と思うのは外部から来た人だけなので、本人たちはなにがおかしいかすらわからない。そもそも、おかしいのかな?わたしもわからなくなってきちゃった。理解しようとするクリスチャンも愛おしかったな。一度"家族"だと認めると心から楽しいことを一緒に楽しみ、悲しいことを一緒に悲しんでくれる、暖かい人たちなのかもしれない。彼らは彼らでそれを幸せなことだと感じているのだとペレの話から汲み取れる。価値観は共有できなくても共存できるのだと教えてくれる。でも、郷に入ったら郷に従わないといけない。その覚悟を持たずについてきた彼らは愚かで、何も教えなかったペレは誰よりも賢い。

ダニーの表情の変化がとってもわかりやすくてよかった、ずっとへの字をしていた口、そんな口角下がる?ってずっと思ってたけど……なるほど。彼女にとっては最高の祝祭だったのでは。

悲しくてグロテスクで強烈、かなり衝撃的なものをみたけど、気分は悪くなく、むしろスッとしたような。帰り道、自分の呼吸の音がいつもよりよく聞こえた。
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