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ミッドサマーのバロウズのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.2
あらゆる常識が通用しないドラッグムービー。
白夜で太陽が一日中沈まないって時点で現実離れしてるし、目の前で凄惨な光景をみせられても「驚かせてごめん、でもこれが祭りの伝統だから」の一言で全部片付けられてしまうのが恐ろしい。
村人たちがあまりに自然に振舞うもんだから、もしかしたら間違ってるのはこっちなんじゃ…?と錯覚してしまう。

そして白昼のシーンがほとんどなので、見てるこっちの時間の感覚が曖昧になるというか、時系列がよく分からなくなって頭おかしくなりそうだった。
知らぬまに観客も主人公たちのように薬物を盛られバッドトリップしちゃったような、強烈な映画体験でした。

「次はこういう展開になるだろうなー」とかって予想を絶妙に裏切っては観客の逃げ場をじわじわと塞いでいく感じ、監督の悪意が滲み出てます。
冒頭のガス自殺や、飛び降り顔面陥没、ミートパイに混じる陰毛、そしてクライマックスの儀式など『何か嫌な物を見てしまった』と感じさせるのは監督の得意技ですね。
「ヘレディタリー」もそうだったけど、アリアスター監督はどんだけ神経ねじ曲がっているんだろう(褒めてます)

背景がうねうね蠢いて見える感じはダウナー系ドラッグをキメたときの感覚に近い。マリワナかなんかやりながら見ると共感覚フルに刺激されて超没入できそう。やらないけど。
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