このレビューはネタバレを含みます
イタリア映画祭2019にて。
親の遺産でB&Bを営むダメ男マッシオは高い税金に悩んでいた。そんな時、宗教施設は減税されるという話を聞きつけ、思いつきで新興宗教を立ち上げる。
信仰すべきは神ではなく内なる自分と説き、本能のままに振る舞い生きる事で、悩みから解放される信者が続出し、本人の意思と関係なくカリスマとして崇められてしまうコメディ。
宗教とコメディというある種、禁断の融合なのに笑いどころ満載で楽しめた。それは宗教という誰かにとってのアンタッチャブルな領域への敬意と少しの皮肉をよく捉えられているからに思える。
マッシオの口から出まかせの「ウソ」に救われる人々は、とても現代的で何かを信じたいと考え、更に目に見えない実態のないものの方がより深く心酔出来るという心理が働いている。
その心理とも真理とも言える現象がマッシオの意思に反して、どんどん拡散していき、自らの首を絞める様は笑いと共にどこか残酷さも感じる。
そういえば、宗教画などは高潔さを描きながらグロテスクでもあり、やはり残酷さを漂わせている。。。
ウソとホンモノの曖昧さを描いた本作を通して、カトリックの聖地ローマでの今の信仰というものがそこはかとなく感じれ、神の存在を忘れ「世界の中心は自分」という意識はSNSなどを介して発信する快感を覚えた私たちそのものだなと思えた。