このレビューはネタバレを含みます
イタリア映画祭2019にて。
悪性腫瘍に蝕まれ、治療する術もなく余命幾ばくかの兄エットレと、成功を収め優雅な生活と自由な人生を謳歌する弟マッテオの性格も境遇も正反対の兄弟の物語。
いがみ合うわけではないが、寡黙な兄と奔放な弟の離れた心の距離を、シリアスさとユーモアのバランスの取れたエピソードが少しづつ縮めていく。
その温かさと歯痒さは、ランナーズハイさながら、苦行の果ての解脱にも感じれて心地よい。
屋内外を問わず均整の取れた映像の美しさと、アンバランスに見えて合わせ鏡の様な兄弟の関係性と繋がりを表現したラストに涙が止まらない。
誰のどんな人生もその中心にあるのは「愛と死」なのだと思わされた。