jonajona

ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~のjonajonaのレビュー・感想・評価

3.7
以前から興味があった黒人差別問題を取り扱った映画。まず非常に丁寧なつくりで誠実なテーマの扱い方をしてることに好感が持てる。

けどジャケのバカかっこいいグラサンと葉巻のサムロックウェルが好きすぎて、きっと大暴れするんだろうなあと期待してたが意外と非常に堅実な映画で、彼のキャラも大人しめだった為ちょっと思ったこと違った。

サムロックウェルで人種差別意識を扱った傑作に『スリービルボード』があるが、今見比べてみるとなかなか心苦しいが、彼方はやはり興味のない人まで惹きつけるサスペンス性や物語としての面白みに溢れてるなーと改めて感じる。(あちらは人種に問わず根本の復讐と改心についての話にも思えるけど)

素敵なシーンもあって高評価なのは納得なのだけど、自分があんまりしっくりこなかったので無理に粗探ししました。
嫌な人ごめんなさい🍵続きはこちら👇

○キャラがちょっと弱い
出発点からの飛距離が有ればあるだけやっぱアガるから、そういう意味では白人主人公はKKKの割には弱い。かなり理性的で学は無いものの奥さんの言うこと聞くし息子愛してるし『いいひと』感が強すぎる。
ただこれも実話を元にの弊害な気がする。実際そういうひとだったんなら仕方がないか…というところ。ただキャラとしては弱い。
あと黒人の主人公は背景が途中からあまりに描かれないのが良くない。kkKの衣装見て動悸おかしくなってたけど、その後その伏線回収されなくて信じ難い。なんか意図的にキャラの深掘りを下げてる気がする。

○2人が交流を図るシーンが少ないし目的が明確じゃない。
息子の具合を見に行った後黒人グループがゴスペル歌ってるのに初めて感化されるシーンはかなり素敵。だけどああいう交流を実際図ってるらしいシーンがラストまでに少なすぎた。

○シーンごとの意図を明確に
象徴として表す引きのセリフが少ない。
これが意外と1番見応えを損なってる要因かも知れない。一つのシークエンスでなんかラスト一言…!と思って見てて大したセリフを言わずに終わってもやっ…てシーン多かった。
シーンごとの目的は明確なんだが。その明確な目的を象徴するユーモアのあるセリフで締め括らないと、不思議と意図はわかっても感情は動かないことに気付かされた。これはけっこー大事なことかも…
(白人主人公の奥さんが黒人主人公に会いに行くシーンなど)

○なぜだろう、描いていない部分がある気がするからか『うまく行きすぎ』感がある。
たとえば冒頭のkkK主人公達による銃撃シーン。人が死んでる可能性もある恐ろしい行為だけどキャラの好感度を担保する為にそこを描き切ってない。美談を美談にする為に少しバランスが歪になってる。


正直、実話としては信じられないほど美しい話だとは思う。展開も丁寧。
けど稀有な実話が必ずしも物語として脚色なしに結実するわけではないなと考えさせられた。予想をなに一つ裏切らないという期待の裏切り方をされた。笑
こうなるとやっぱり『人が取りそうなそれらしい動き』より極端な所のギリ感情移入できるひとの動き方がシーンに深みを生むんだろな。

●交流の為にお楽しみを、と言うと黒人はゴスペル、なら俺たちはkkKの服を飾らせろっていうパワーバランスが露骨に出る展開はよかった。
●黒人との繋がりが強くなってきた主人公を危惧してkkKがさらに昇進させる展開は中々に興味深かった。組織の幹部まで行くと下手に焦って制裁するのも体裁が悪いから脅すとかって意外にならないのな
●ラストシーンは好き🚙🚗🛻

※ドキュメンタリータグ付けましたけど実話を元にしてるだけでドキュメンタリーでは無いです。ごめ茶(つД`)ノ🍵

ー本日の名言ー
あんたを作った神が、私を作った!
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