通りすがりのアランスミシー

11月19日の通りすがりのアランスミシーのレビュー・感想・評価

11月19日(2017年製作の映画)
3.8
色々と未熟な作品。
まず1シーン1シーンの尻の余白が異常に長い。
ただ下手なだけというより徹頭徹尾長いので監督が意識してやっているのは伝わってくるが、このテンポが受け入れられない人には作品自体が受け入れられないと思う。
(実際深い寝息を立てている人も見た)

会話シーンの切り返しカットは人に寄りすぎな印象があるし、クライマックスの締め方は強引で全体的にぎこちない。
クライマックスだけが全く別の映画になっている。あれはそのまま新海誠監督のアニメだ。突然、実写からアニメ風にトーンが変わったので「そろそろブシロードのCMが流れるか?」と錯覚したほど。

が、強引な締め方も観客に見せることを意識しているということの裏返しだし主役が人ではなくその場にある景色そのものという引きの美学は
「人人人」になりがちなインディーズ映画の中では異質で非常に強く印象に残った。
というよりここまで人ではなく場所そのものをフィーチャーしている日本映画を2010年代以降に観た覚えがほとんどない。
あからさまな主張が無いのも、いい意味でインディーズらしくなく好感が持てる。

未熟な点が多かったためもう少し点数を下げようかと思ったが、
観客を意識しているという点と引きの見せ方の2点で点数を甘めに付けた。