くるぶし

君の誕生日のくるぶしのレビュー・感想・評価

君の誕生日(2018年製作の映画)
3.7
2014年に韓国で起きたセウォル号事件。304人が亡くなり、そのなかの大多数を占める250人が修学旅行中の高校生だったーーー。

実際に監督が当事件の被害者遺族のケアを経験したことから着想したそうだが、事件から2年後の設定にした監督の思惑が、映画を見ていくと徐々に明らかになっていく。

大きな喪失感を埋める作業は、そんなに簡単なものではない。癒しを得ようとするのは、さらにもっと先。
失意の中から残された家族が「それでも生きていく」ことを選べるようになるまでの過程や、かかる時間は人それぞれだ。
淡々と積み重なる日常の中に潜んだ“傷跡”が、ふとした瞬間に表出するたび、なんともいえない気持ちになった。

最後の30分長回しシーンは、長回しにした意味のある力強さで、あぁ、これをやりたかったのだと納得(&わかっていたけどそりゃ泣く)。個人的にはちょっとあざといと思いましたが…

女性監督の活躍が目覚ましい韓国映画界。この作品の監督イ・ジョンウォンも女性です。繊細ながら明確な意思を感じる作品。
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