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君の誕生日のNOBUのレビュー・感想・評価

君の誕生日(2018年製作の映画)
4.5
セウォル号の沈没で失った息子の父と母の葛藤を描いた映画。

遺族の気持ちを描くことは当事者でない限り難しいとは思うが、イ・ジョンオン監督は様々な遺族と関わり彼らのエピソードを引用したということで限りなく真実に近い形で描いているから観ている方が涙が出て来てしまう。

父の亡き息子へのパスポートのエピソードには大変感動したし、死を受け入れられない母の姿はどこまでも泣きそうになるし、クライマックスは監督の意向でノーカットで一気に撮り切ったらしいが、皆のお芝居がもう素晴らしすぎて、もはや映画の創作を超えたシーンであるように思う。

ストーリーとしての父の背景など描写に甘い部分もあるが、重要なのは残された家族がどう向き合って生きているか、その姿をこの映画は出し切っており、母を演じたチョンドヨンがとにかく素晴らしい女優さんであることをまた認識させられた。

悲しいストーリーではあるが、希望も失わない描写がこの作品の魅力に思う。
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