小希

君の誕生日の小希のレビュー・感想・評価

君の誕生日(2018年製作の映画)
4.0

回る洗濯機の窓を見つめ、息子が最後に見たであろう光景を想像する母。
お腹を痛めて産んで、生きる術を教え、辛い時も嬉しい時も一緒に歩み、誕生日にはその成長を喜ぶ事ができた。

それが出来ないなんて、どんなに胸が押しつぶされる気分だろうか。

『事故が起きた時と同じような天気や気温、空気などを感じるとその時の感覚に戻ってしまう。セウォル号の生存者や遺族の中には、桜を見ただけでも思い出したり、3月になって窓を開けるとふと暖かい風が入ってくることがあるじゃないですか、そんな風に当たっても思い出してしまったりするのです。』インタビューで遺族がこう語っていました。

この事件の後、生存した生徒達は他の遺族に生き残ったことを批判をされ、政治や報道でも世間から大きなバッシングを受けたという。
悲しいよね。事故に巻き込まれ、仲間達を置いていかなければならない、それだけでも大きな傷を負っているのに。

息子のことを忘れたくはないが、我が子を思うたびにあの事故を思い出してしまう。それが辛くて誕生日を祝えなかった。
でも「彼が助けてくれたから私は今ここにいる。」そう知って、お母さんはきっと息子が自分の命を繋げてくれたと感じただろう。

もう本当にボロボロ泣きました。
小希

小希