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がんと生きる言葉の処方箋のjamのレビュー・感想・評価

がんと生きる言葉の処方箋(2018年製作の映画)
4.1
やるだけのこと 全力を尽くして
心の中でそっと心配すればよい
どうせなるようにしかならない
 勝海舟の言葉


癌と診断されて、どうすればいいのか迷う
患者さんに「がん哲学外来」の樋野先生が穏やかに話す

今や日本人の死因の3割近くを占める悪性新生物…癌
こんな言い方をしていいかわからないけれど、わりと身近な病気だと思う
私の祖父も、そして45歳で亡くなった父も癌だったから、私もそのうち罹患する可能性は高い、というか多分、罹る。

世間一般では、癌というと死に至る病、
というネガティブなイメージがあると思うけれど

このドキュメンタリーに登場する人たち、多くに共通しているのは
皆、とてもポジティブだということ
もちろん、それぞれの痛み、傷み、辛さを抱えているには違いないけれど

その人たちを支える一翼を担っているのが、
各地で開催される"メディカルカフェ"

全国約150箇所で開設されていて
癌患者、家族、医療従事者などが集い、
お茶を飲みながら語り合う

乳がんを体験したシングルマザー斎藤さん
「純粋に思っていることを吐き出せる場」が欲しいと

自分で感じていること、
悩んでいることをそのまま
アドバイスとかじゃなくて
ありのままを受け止めて
明日へ進めるように


脳腫瘍を体験した高校生航大くん
自分と同じような子どもたちの役に立ちたい


あなたはそこにいるだけで価値ある存在

出てくる人たち、その語る言葉ひとつひとつがどんな哲学書よりも真理のようで


癌になってからも生きていく
医療ではフォローしきれないこと
その医療の隙間を一人の人間がいるだけで埋めることができる
困っている人のブリッジには誰でもなれる

医療従事者として
日々の治療やケアが十分行き届くように、
と努めるけれどままならない…
そんな私たちにとっても、救いのように感じて

解決はできなくても
解消はできる

うん。
こういう活動があって良かった。

明日この世を去るとしても
今日の花に水をあげなさい

…そうありたいと、心から。
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