かじドゥンドゥン

復讐者のメロディのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

復讐者のメロディ(2018年製作の映画)
3.5
おそらくは性犯罪で服役していた中年男性が出所し、女の経営するモーテルに長期滞在する。女の夫も服役中で、娘クララと二人で暮らしている。

自分の中に依然として眠る狂暴さが刺激され甦るのを恐れる男は、年頃で好奇心旺盛の少女クララから距離を取ろうとするが、クララは服役中の父を男に投影して、距離を詰めてくる。

そして或る夜、知り合いの不良男に誘われその車に乗ったクララは、薬物を摂取した後、強姦される。事が終わってからそれに気づいた主人公は、不良男を追い払い、傷ついたクララの服を脱がせて体を洗ってやるが、それも、彼女の体から視線をそらしながら、おそるおそる。

後日、主人公が皿洗いの仕事を始めた中華料理屋に強姦犯が客としてきており、主人公は駐車場で彼を瀕死にまで殴りつけると、ひとけのない工事現場で車ごと放火する。それはまるで、自分の中のいまいましい悪魔をたたき殺すかのような、自己嫌悪の表われにも思える。

クララの母が娘の異変に気づき、放火殺人事件を知ると、真っ先に主人公を疑い、何があったのかと問い詰め、主人公がすべてを打明けると、彼の行いを咎めて、追い出す。

それでも、自分の獣性に身を任せたというよりは、じぶんたちのために人生を擲って復讐した主人公に愛情を感じた母娘は、主人公の逃亡を手助けして送り出す。