ろく

いざなぎ暮れた。のろくのレビュー・感想・評価

いざなぎ暮れた。(2019年製作の映画)
2.2
延々とキャッシュディスペンサーの前を行ったり来たりする映画。

もともと武田梨奈が好きなんで観たけど、誰に需要があるのかわからない謎映画だった。武田が金髪なところはあらたな武田を見つけることが出来たので好感触だったけど。

まあおそらく、日本特有の「あなたの街でも映画をつくりまっせ」とばかりに映画にするには貧弱な脚本と映画にするには貧弱な監督が映画にするには貧弱な俳優を使って(武田梨奈、すまん)映画にしたんだろうなぁという思いが止まらない。そう、ここんとこ自分が気になっている地方から金をぶんどってその金で「映画監督になりたい」人の自己満足を醸成させる、そんな映画なんだよ。ああ、映画界での地方からの搾取構造じゃないですか。全く。

「それでもいいから映画を作りたいんだよ!」という意見もわからないではないが、その結果日本映画は「どうでもいい映画」が再生産され劇場でも2週間で打ち切り、さらにはやっているとこも10~20くらい、そして誰の目にも止まらないまま配信にうつされる、そんな映画が多すぎなんだよ。そして(フィルマでもそうだけど)みんな日本映画は見なくなってしまい、ニッチなファンだけ(まあ僕もその一人だけど)観ている映画になってしまうんだ。悪循環なんだよ、本当に。

そして映画内では俳優がそれっぽいことを絶叫し、奔り、さらには憤り、街の風景は祭りや伝統行事が映され、最後はなんとなくいい雰囲気で終わる。なるほど、映画評論家柳下の言うとおりじゃないか、やれやれ。

最後毎熊が走ったり、海に飛び込んだりした時は僕も心動かされたけど、こんな映画でもいつも観ているからつい「これでもいいのか」なんて思ってしまう。でも待てお前。本当にこれでもいいのか。誰かにこの映画の良さを言えるのか。また見たいと思えるのか。何かあったときこの映画を思い出すのか。

答えはノーだ。それが地方映画の必然なんだよ。
ろく

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