母子家庭の母子の絆、ヤングケアラー、夢を追うか母をケアするか、10代に降りかかる苦難。
監督のインタビューを読んだら、アントニオ・カッサーノの物語に一部着想を得たフィクション(伝記ではない)とのこと。
レモン農園を所有する母と16歳の息子のアントニオ。
母が精神不安定な理由もなかなかにしんどいものがある。
父親の不在だが、その父もな…。
アントニオは学校中退、レモン収穫販売を手伝い、アルバイトも掛け持ち、母の世話もしながら、サッカーのトレーニングをする。
いつ寝てるんだと心配になるレベル。
そんな彼にも恋愛やサッカー選手になる夢に近づくチャンスは訪れるが、この状況、どうするのか。
サッカーで稼げるようになれば母孝行ができる、実際そうなったサッカー選手もいるだろう。
しかし、彼の場合は母を放っておけない。
そんな母子に手を差しのべるはずのソーシャルワーカーはその事情をなかなか理解してくれない。
親として不完全だから離れて暮らせ、父と暮らせ、そう単純な問題ではないし。
困難が降りかかりすぎじゃないか。
まるでケン・ローチやダルデンヌ兄弟の映画みたいだ。
貧困だけではなく複合的要因が重なって、少年にとっては想像できないほどの困難。難しすぎる決断。
夢を見る自由はあるが、それに手が届きそうなのに果てしなく遠いという状況もツラすぎる。
あのあと少年はどんな人生を歩んでいくのだろう?と心配になる。この歳で背負うものが重すぎる。とにかくツラい映画だった。
レモネードがとても美味しそうだった。