このレビューはネタバレを含みます
イタリア映画祭2019にて。
精神疾患を抱える母とサッカー選手を目指す17歳の息子アントニオの2人だけの生活を通して大人へと成長していく姿を捉えたドラマ。
学校を辞め、朝は農園で働き、午後はトレーニング、夜はアルバイトをしながら情緒不安定な母の面倒をみるアントニオの日常。
普通の同年代の少年なら逃げだしてしまいたくなる状況も、母への無償の愛とプロサッカー選手になる夢のために懸命に努める姿を背景を排し、アップを多用して注視する。
そこからはその街の文化や彼らの周囲の人々の生活などはわからず、ただただアントニオ視点の世界を私に伝えてくれる。
夢と母のために、あらゆるしがらみを取り払い前だけを向いて突き進むアントニオの狂気とも言える姿勢は、自分が17歳である事を忘れてしまうほど盲目的で、彼の心情を思うと胸が痛む。。。
希望に満ちた、とは到底言えないが、ラストのその先を歩んでいく姿を想像するとここからが彼の人生なのだと思え嬉しい気持ちに満たされた。
