ネタバレという言葉が嫌いだ。なぜ、われわれがレビューという物を「見る」のか。この見るというのはつまり、自身が感じたスコアや記録のことではなく他者がどうその対象を感じたかを調べるということだ。それは取りも直さず、評価や見どころが気になるからであるし、それを知るには知識としての情報や経験が必要ということになってくる。ゆえにネタバレはむしろするべきものとも思うし基本的に配慮しない。逆に言えばレビューしない作品は拙文すら書けないほど自分の映画的経験が少ないか、時間がないということだ。
さて、結論から言う。もう一度観たいと思わせる作品であるのと、ネタバレなどと言う人間には、イタリア映画であることや最新の作品であることを伏せてこの作品を鑑賞させたくなる。なんの先入観も知識もなくこの映画体験をすることはその場合に意義があるだろうことを疑うつもりがない。
残念なことに自分自身もこの場合、経験の至らなさと主人公への共感という点に於いて個人としての感想が大したものになっていなかったことをお断りしたい。つまり、例に漏れず照明と撮影の美しさ。あとは幼少期などの描写も含めた凝った編集ということくらいである。また、作品自体が個人の記憶というファジーなものを男女を通して描いた夢幻でありここに真実はないということくらいだ。
他者のレビューを読んで鑑賞することを薦めます。
