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帰ってきたムッソリーニのkuuのレビュー・感想・評価

帰ってきたムッソリーニ(2018年製作の映画)
3.3
『帰ってきたムッソリーニ』
原題 Sono tornato.
映倫区分 G.
製作年 2018年。上映時間 96分。
映画化もされたドイツのベストセラー小説『帰ってきたヒトラー』をベースに、舞台をイタリアに置き換え、現代によみがえった独裁者ムッソリーニが巻き起こすドタバタを描いたブラックコメディ。

現代のローマに突如よみがえったムッソリーニ。その姿を偶然にカメラに収めた売れない映像作家は、一発逆転をかけてムッソリーニのドキュメンタリー作品の制作を思い立ち、2人でイタリア全土の撮影旅行がスタートする。
そっくりさんだと思った若者がスマホを向け、戸惑いながらも撮影に応じた写真がネットで拡散し、テレビ出演でのカリスマ的な演説が人々のハートをつかむなど、ムッソリーニの人気は絶大なものとなっていく。
そしてムッソリーニはふたたび国を征服する野望を抱くが。。。

ムッ剃りーニはヒトラーと違う。
違うがオリジナルと内容は同じ。
今作品はキャラも弱いし劇的な何かが、足らないかな。
まぁ、ムッソリーニの顔がハリウッドザコシショウに見えなくないと思たら、チョイとキャラ立ちはしたが。
ザコシメガネ掛けててーな。
第一次世界大戦迄は、社会主義者やったオッサンムッソリーニ。
それが、戦中の従軍とかでビビったんか、国家主義者に廻向。
戦後のドサクサ経済や、揺れマクリマクリスティ社会にペテン師並みの巧みな演説力でファシスト党から首相へと駆け登りよるムッ剃り~ニ。
ローマ帝国再興なんか掲げて民衆の心をつかんだ。
Make Roma Great Again(あ!これは英語かぁ、今じゃ忘れつつある歌留多じゃないトランプ)イカれたレトリックやなぁ。
ムッソリーニの※手法は、ヒトラーに影響を与えた(作中でもムッソリーニが言及してます)こと考えたら、歴史的にはキャラは立ってるのは立ってるが、日本人にはヒットラーほどのインパクトはない。
※手法って書いただけあって、ナチ式のまっすぐ右手を上げよるのも、ローマ式敬礼が先やとか。
脇道に逸れまくりですが、(子供の頃道草くって良く怒られた)。
日・独が戦争責任を連合国に問われたのに対して、ムッソリーニはイタリア国内のレジスタンス運動で、イタリア人に銃殺された。
ドイツじゃナチスのシンボルは教育目的など以外では違法やし、日本でも帝国陸軍の事は禁句に近い。
理念もなくやかましい街宣車は軍歌や戦時歌謡垂れ流しはしてるけど。
せやけど、イタリアじゃムッソリーニの過ごした場所なんか観光地になってるし、ネオファシストらの巡礼とか絶えないらしい。
ネオナチへの風当たりとチョイちがうなぁ。
さて、今作品の内容はと云うとイカれた戦争時の指導者が現代に蘇ったら!
タラレバ映画です。
ドイツ、イタリアと面子がそろったんやさかい、日本版帰ってきた東條英機まってますよ!!
『ONODA』の脚本も手がけたアルチュール・アラリ監督辺りにお願いしヤス。
(あくまでも天⭕よりも東條英機と書いたのは私的な考えなので)も作るべきかな?
イタリアてのは、先の大戦後にファシスト粛正キャンペーンで王制を廃止しょった流れか、この映画の監督は『日本の事はよくわからへんが、1点不思議に思うんは、ヒトラーやムッソリーニは敗戦とともに消えたものの、日本の天皇制は続いとる。
米国が維持させたわけだが、いずれにせよドイツやイタリアほどの変化を経ていないように思う。それについて、みなさんはどう思っているのだろうか?それが私からの問いかけだ』
と云っとる。
あくまでも監督がですので。
小生の考えやけどマッカーサーが切に願ったんやろとは思う。
日本人がゲリラ戦術取ったら戦争は長引くし、自分の大統領選に不利になるしエトセトラ。
コメディムービーやけど、キューブリックの『どろぼうかささぎ』の曲を使うとか、手の込んだ風刺の映画手法は、二番煎じかなぁ。 
しかも『帰ってきたヒットラー』の出した後の薄い茶に感じるし、売れない映像作家役のアンドレア・カナレッティって俳優さんが好きになれんかった。
また、今作品は、オリジナルの『帰ってきたヒトラー』のヒットラーと、今作品のムッソリーニを入れ替えただけの、元の脚本とほとんど変わらない。
しかし、オリジナルの脚本はムッソリーニを念頭に置いて書かれたものじゃないやろし、単にヒトラーとムッソリーニを入れ替えただけやとうまくいかないとこが多く、ほとんどの場合、無理矢理感があった。
とは云え、決して悪い映画ではなかった。
ただ、主人公をムッソリーニに変えただけで、原作に何も新しいことを加えてはいないのが残念かな。
でも、まだオリジナルを観ていなくて、ドイツ映画よりイタリア映画を観たい方は楽しめるのかなぁと。
また、ドイツのオリジナルにこだわってもいいかなぁ、どのみち同じ映画ですので。
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