半兵衛

マイラの半兵衛のネタバレレビュー・内容・結末

マイラ(1970年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

公開当時は新鮮だったのかも知れないが、50年たった今見直すと悪のりし過ぎたハリウッド批判コメディ以上のものではないかな。ゴダール以上に引用される過去のハリウッドへの言及や過去の名画の映像もおふざけ度を加速させる。

でもハリウッドにはびこる性を追求した作風は結構鋭く、そんな異様な性愛を女性に変貌した主人公が異常プレイで叩き壊すのが痛快だったりもする。なかでも逞しき男性を後ろから女性が犯すという倒錯したプレイは過去のカウボーイ映画の引用も相まってハリウッド的男性像を叩き壊しているような気分に(そんなハリウッドのディープな部分に触れすぎたためかこの映画を作った監督はハリウッドを追放されたというのも皮肉)。

あとベッドシーンに入るとき引用される映像による隠喩があまりにも直接的すぎて爆笑、こういうエロ路線での山城新伍みたいなふざけた「映画史」もありかも。

ジョン・ヒューストンのコミカルな悪役ぶり(役柄も相まってなのかどことなくミシェル・シモンや伊藤雄之助に似ている)、70歳を超えているのに艶やかなエロスを発散するメイ・ウェストも見所。あとセクシーだけど髪型がちょっと変だし変態プレイまでやらされるラクエル・ウェルチも。

それにしてもラストのオチといい、もしかしたらこの作品は青臭い映画ファンによる妄想世界だったのかもと思ったりもする。歌あり変態プレイありのはしゃぎすぎた世界観も妄想駄々漏れだし、あの意味のわからない性転換する前の男性主人公と性転換したあとのウェルチによるベッドシーンも主人公がハリウッドに隠れた性の匂いに刺激を受けて一人で絶頂に達した(実際ベッドシーンでは男性しか映らない)と考えれば納得。
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