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マイラのcatmanのレビュー・感想・評価

マイラ(1970年製作の映画)
5.0
1970年公開。マイロンからマイラへ性転換したゴージャス美女のラクエルがハリウッド=アメリカの男根主義を変態プレイでぶっ潰すラジカルで倒錯したコメディの怪作/珍作つまり傑作。マトモな人間が一人も出てこない。当時は酷評され監督はこの後ハリウッドを追放されてしまったらしい。最高なのに。旧い映画をコラージュするMAD的な手法が駆使されていることも本作のアバンギャルドな作風を加速させている。ただ悪ノリが過ぎるし軽薄なムードが続くので人によっては退屈してしまうかもしれない。
一方でラクエル目的で観る人(わたし)にとっては彼女の麗しい七変化、多彩なコスプレとセクシーな演技が堪能出来るので非常に満足度が高い。眼福のつるべ撃ち。満点。あと、このところ彼女の映画を立て続けに観ていて感心するのは演じるキャラクターの幅が広いこと。本作ではセリフの多い知的でセクシーな役を難なくこなしていてお見事。セックスシンボルとして取り上げられる事が殆どだけど、決して美貌だけじゃあない豊かな才能を感じてますますラクエルが好きになっちゃう。
マイラと敵対するジョン・ヒューストンのコメディ演技も素晴らしくて、何処と無く『チャイナタウン』の変態ジジイを思い起こさせる怪演。ぶりっ子キャラのファラ・フォーセットが初々しく、対照的に当時既に70代後半のメエ・ウェストによる貫禄たっぷりの性豪演技に圧倒的され痺れてしまう。You gotta taste all the fruit とHard to handleの派手なステージパフォーマンスもカッコイイ。
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