梅ちゃん

炎のメモリアルの梅ちゃんのレビュー・感想・評価

炎のメモリアル(2004年製作の映画)
4.0
命を懸けて他者の命を救うという、究極の利他的行動を使命とする消防士。アメリカでは特に英雄視されている職業と聞いていますが、本作は2001年のアメリカ同時多発テロの際に活躍した消防士達に、敬意を払って製作された作品とのこと。

人命救助をテーマとした大好きな作品である『バックドラフト』や『め組の大吾』とは違う、徹底したリアル路線で等身大の消防士の生き様を描いた本作は、製作の経緯を鑑みると、その物語の結末は必然。だからこそリアルさが際立ち、胸に迫るものが確かにある。

テンプレ的に消防士ものというと、己の危険を省みず絶望的な状況へ、いとも簡単に身を投じてゆく、無敵のスーパーマンのように描かれがちです。しかしながら本作においては、普通の人間としての幸せな日常描写にかなり時間が割かれている。その為、消防士達を所謂スーパーマンたらしめているのは、常人では計り知れない程の覚悟であり、使命感や正義感であることが痛切に伝わる作品でした。

自己犠牲の精神を無条件に讃えるつもりはありませんが、この作品を観てしまうと、やはりその想いは尊いものだと感じざるを得ず、どうにも考えがまとまりません。ムズい…。