菩薩

壁画・壁画たちの菩薩のレビュー・感想・評価

壁画・壁画たち(1981年製作の映画)
3.3
「壁たち、ところどころ」だった、この先に『顔たち、ところどころ』があるのはもはや必然か。顔たち〜が個人に焦点を当てるのとは対照的に、壁たち〜はその声に耳を傾ける。また顔たち〜における芸術は人と人との壁を取り払い結び付ける役割を果たしていたが、壁たち〜の壁はさながら伝言板であり、壁は壁のままで機能を続けている。ギャラリーに展示され、売買を目的に描かれる絵画ではなく、そこに存在し、発する声を誰かが受け止める事により価値が発生していく壁画。原始的なコミュニケーション手段であり、また彼等が「アメリカ人」である為に必要不可欠であるそのキャンバスが埋まる時、そこにまた歴史が生まれ、街は力強さを増していく。ヴァルダはどこまでも人間と言うのを愛し、興味を注ぐ事を辞めなかったのだなと、そんな事を思う。ちなみにバンクシーらしき絵は出てこなかった。
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