AD610年頃、イスラム教の開祖マホメット(ムハンマド)が、
メッカの外れで山ごもりの最中に神の啓示を受けるところから、
弟子や信者が弾圧を受け、メッカを離れ布教を進め、
メッカの旧宗教勢力との武力闘争に打ち勝ち、
メッカに帰還・凱旋するまでが描かれています。
ほとんど馴染みのないイスラム教の初期の歴史について、
わかりやすく映像化した貴重なものとなっています。
ストーリーとしてひねりが期待されるような類のものではないので、
わかりやすいのは何よりです。
宗教上マホメットの映像化が許されていないため、
マホメットは常に画面の外にいて、
神秘的なBGMを流すことによってその存在を示すなどの
工夫が面白いです。
Wikipedia英語版によると、
本作の監督であるムスタファ・アッカド(シリア系アメリカ人)は、
ハリウッドでは製作資金が集められず、
最終的に、リビアのカダフィ大佐が製作資金を提供したとのことです。
制作費1千万ドルですから、結構な大作です。
監督曰く、イスラム教について西洋でほとんど知られていないことに驚き、
西洋に暮らすイスラム教徒として本作製作の義務感に駆られたとのことです。
なるほど、イスラム教の教えは同じ一神教であるキリスト教の教えと大きな差はないと、
作中で登場するキリスト教司教に言わせるなど、
キリスト教徒が見ることを前提に、配慮した演出がなされているようです。
アラビア語版が英語版と同時に製作されていますが、
アラビア語版は中東向けにキャストと演出を変えているとのことです。
見比べると面白いのでしょうが、
こちらは簡単には入手できなさそうです。
同監督は、後「ハロウィン」の製作総指揮などで知られますが、
2005年、結婚式出席のため、ヨルダンの首都アンマンを訪れた際、
自爆テロに巻き込まれ亡くなっています。