ししまる

幸福路のチーのししまるのネタバレレビュー・内容・結末

幸福路のチー(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

傑作ということは理解できるが、自分の経験値が足りなくて良さが半分くらいしか感じることができなかった。10年後くらいにまた見たい。
半自伝的な映画ということもあり、映画を触媒に自分の経験を呼び起こして共感する系の映画だったと思う。
台湾の歴史をなんとなく勉強できたのが結構収穫になった。

同時期に見たということで、なんとなく羅小黒戦記と比較してしまう。
描写的には「ファンタジーをリアルに描く小黒」と、「リアルをファンタジックに描くチー」といった感。
どちらも「自分の居場所を自分で決める物語」であり、どちらも最終的に人間関係を居場所に定める。
しかし、生まれたばかりのシャオヘイが生まれた場所ではなく(フーシーの思想は否定される)流浪を選ぶのに対し、それなりの時間を生きてきた30代の女性チーは故郷に足をつけることを選ぶ、と結末は対照的。
2つの作品は他にも共通点と相違点がありそうで面白い。

日本のアニメでは「この世界の片隅に」とちょうど対応する感じ。世の中の流れの中で、揉まれながら傷つきながら自分の居場所を見つける女性、ということで。
すずさんとリンさんの関係に対応するのがチーとベティなのかな。

最近なんとなくシスターフッド要素がある作品が好きだと気づいたが、あまり自分の中で定義できなかった。
この作品を見て、ぼんやりわかってきた感じがする。
チーとベティが子供の頃のようにハトを逃すシーンがあまりに「解放」を表しているために、なんだか感極まってしまった。
あとラストの親に全てを許されるシーン本当にずるい、それまでずっと淡々と半生を語るシーンだったから、溜まっていた全てのストレスが急に解放されて泣いちゃったよ…………
ししまる

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