アン

ミッション:8ミニッツのアンのレビュー・感想・評価

ミッション:8ミニッツ(2011年製作の映画)
3.7
どこかわからない謎の実験施設から記憶が混濁したまま並行世界の他人へと意識を転送され続けるジェイク・ギレンホールの演技が秀逸でした。

紛れもなくSFマギッシャレアリスムスの傑作の一つでした。
他人の体に意識を移行する設定はロバート・A・ハインラインの『愛に時間を』を連想しました。
また事件を未然に防ぐ、どこかに囚われているという点はフィリップ・K・ディックのプリコグのようでした。何度も並行世界への時間の割り当てを強制的にさせられる任務に就く主人公がプリコグだとして、ソースコードが実際の基本世界とは違う並行世界、つまりいくつもの可能性がある中の一つ(マイノリティ・リポート)に繋がっているものなのではないかと妄想しました。

ソースコードの施設で働く人たちは、ソースコードでの移行先世界は並行世界ではなくシミュレートされた世界だと考えている節がありましたが、物語最後のグッドウィン大尉へ宛てたEメールは大尉に並行世界を暗示し、大尉すらも円環の囚人にしてしまう不幸のメールのようにも見てとることができました。そもそもが物語が始まった段階の世界すら基本世界でない可能性がありました。
また主人公スティーブンスは、並行世界に意識を留めることで、いくつもの並行世界を今後も作り上げ、無限に他人の体を乗っ取り増殖し生き続けるのではないかと思いました、『愛に時間を』のように......
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