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ミッション:8ミニッツの346のレビュー・感想・評価

ミッション:8ミニッツ(2011年製作の映画)
3.4
普通に面白いけど。

この映画、もっと面白くなったはずだと思うと少し残念なので減点しました。アイディアとしては、そこまで斬新なものではないと思うけど、その発想の扱い方は捻りが効いていたと思います。

ただひとつ自分が気になったのは、交換手?みたいなモニターの女性のドラマが弱すぎることです。普通に考えたら、これは軍事機密扱いの作戦なのだから、あそこで働く人間たちはそれなりのエリートであるはずです。そうだとしたら、彼女があの役職に辿り着くまでにどれだけの努力したかを考えると、あの選択は短絡的すぎだと思います。

もしくはあの集団が、落ちこぼれが集まるお荷物部署であったとしても(この映画の描き方としては、どちらかというとそっちよりだったから、それにも違和感はありました)馬鹿にしてくる軍上層部の鼻をあかしてやろうと、この作戦を成功させることに燃えているはずなので、やはり、あの選択を簡単にするようには思えないのです。

それなのに、この交換手は決断します。そこに迷いや葛藤の表情はありましたが、逆に言えばそれしかない。あれだと簡単に感情に流されるようなキャラクターにしかみえないし、彼女の決断自体も弱くなってしまうので、あそこに至るまでの二人の交流をもっと丁寧に描くべきだったと感じました。

例えば、この交換手をもっと年上にして、過去に息子を亡くした独身女性というキャラに設定にすれば、疑似親子関係を演出できるので(そのかわり親父のくだりはなくなるけど、こっちで補完できるからいい)そうやって、二人の関係性をより深く掘り下げて描けば、あの選択も、任務よりも母としての感情が勝ったという印象になったはずなので、それだと自分も腑に落ちたのですが…。
もちろん、そのぶん尺は伸びますが、個人的な好みとしてそういった演出ががあったほうが、最後のストップモーションがよりドラマチックになったと思います。

でも、やりたいことはしっかりやれてるし、面白いことには間違いないです。あと少し、人間ドラマのパートを現実の方に欲しかったというワガママを言ってみただけでした。
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