かず

ミッション:8ミニッツのかずのレビュー・感想・評価

ミッション:8ミニッツ(2011年製作の映画)
4.0
「インセプション」「バタフライ・エフェクト」「バックトゥザフューチャー」などの記憶や時間の流れを代表する作品とタメを張れるのではないか?そう思わされる会心の一作

作品としては冒頭からスピーディーに物語が展開され、「メメント」とは異なり冗長になりかねない繰り返しシーンを、工夫したフラッシュバック映像で省略するなど、上手く構成されている。

内容面では、量子力学、対テロ対策、元米軍兵と遺族の悲劇、人間の命の倫理、非人間的な合理主義(現代の歪んだ資本主義)など数えきれない程のテーマ、思想を含んだ作品となっており、完成度が非常に高いと言わざるを得ない。

それと同時に、"生"ある者の為に、徹底的に"死"という安寧を蹂躙するという発想が、あまりに恐ろしく、それと同時にこれからの時代のタブーを予見させる内容になっていた。

人間にとって"死後"とは何か?心脳同一説や物理主義を否定し、また別個の世界を構築する事が本作の解答となるが、それは救済なのか、それとも終わりなき苦難の旅なのか?ともあれ、本作ではラッキーエンドという形を取った事が一つ救いになった。観て損する事は絶対にない!と断言できる

ちなみに監督の父親はデビットボウイと知って、かなり意外感が…。監督本人も米国の名門で哲学を学んだだけあり、矛盾しない世界観作りの上手さが際立った
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