スベン

命みじかし、恋せよ乙女のスベンのレビュー・感想・評価

命みじかし、恋せよ乙女(2019年製作の映画)
4.5
まず、この映画は「HANAMI ハナミ」という十年ほど前のドイツ映画の続編。日本未公開、ソフト未発売なのでwikiでもいいので、あらすじを読んで行くことを推奨。(どなたかのレビューで拝見して、とても助かりました・・・!)

そして、日本側の宣伝では樹木希林さんを大きく扱っていて、日本も出てくる外国での男女のオッサレ〜な恋愛映画かな?という雰囲気なので、そこも賛否を呼ぶ結果に繋がっているのかな。
(私の席の近くのおばさまは、しょっちゅうスマホをいじってたし・・・)
観るのを迷っている方は日本版の予告編とは別に、ドイツ本国版の予告編を観て確認してみてください。だいぶ雰囲気が違うのが分かります。


結果から言うと、私はめちゃめちゃ好きでした。繊細な世界観、不可思議な雰囲気は現実だけど、どこかそうじゃない。
舞台がほぼドイツで、そして、森の中の古い一軒家ということもどこか寓話めいたストーリーを引き立てている。

傷ついた人たち(主人公は勿論、ユウも)の繊細な話をとても抽象的で観念的に寓話のように仕立て上げている。それはラストまで続く。
閉ざされた不可思議な世界と現実。その狭間にいるかのように所々出てくる悪霊。
この悪霊を、監督はどこか日本の物の怪や妖怪とリンクさせてお伽話のように描きたかったのかも。(オープニング、エンディングの絵草紙からして)
だから、主人公を責める葛藤的な存在でもワンクッションがあったように感じる。なによりも、これが主人公のアル中故の症状なのか、本当に悪霊なのか。そこも難しい線引きです。
そして、和風恋愛映画という概念を捨てて、ドイツ映画の少し不思議なヒューマンドラマと思って観ると、だいぶ見方が変わり観やすかったです。

最後に、なんといってもドイツの冬の情景がすごく綺麗だった。ノイシュバンシュタイン城も出てくるし、ヨーロッパ版なまはげ、クランプスも出てきます。
スベン

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