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ザ・ワンのbackpackerのレビュー・感想・評価

ザ・ワン(2001年製作の映画)
3.0
俺たちの功夫皇帝ジェット・リー主演!
ジェット・リーとジェット・リーが壮絶なバトルを繰り広げる、ザ・ジェット・リー・アクション映画!

ーーー【あらすじ】ーーー
125の並行世界〈マルチバース〉が存在する世界。バース間の調和は、多次元宇宙捜査局によって守られていた。しかし、元局員の男ユーロウが、他の124のバースにいる自分を殺し始めた。目的はただ一つ。全てのバースの自分を屠り、唯一無二の絶対なる一人〈ザ・ワン〉になり、全能の力を得ることだ。
そんな事情はつゆ知らぬ、最後の一人。名前はゲイブ。連邦保安官として働いている。ある日ゲイブは、囚人護送の任務中謎の襲撃を受ける。なんと犯人は自分に瓜二つの男で……。
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125ある平行世界の自分を皆殺しにすると、残った一人は全能の存在〈ザ・ワン〉になれるのだ!!

というわけで、ジェット・リーとジェット・リーが殺し合いをするお話。もうこの時点で面白いですね。シュワルツェネッガーvsシュワルツェネッガー(『シックス・デイ』)みたいな破壊力ですよね。
アバンタイトルで簡潔な世界観説明をした後、囚人護送の襲撃シークエンスをサクッと実施。人物相関図もついでにパパッと見せてきて、サッサと次に進んでいく。別に巧妙にテンポよく作ってるという印象はありませんが、堅実な作りの積み重ねが心地いいですね。

見どころはなんと言ってもクライマックス、ジェット・リーvsジェット・リー、互いの生死をかけた死闘です。
特に、工場機械をぶち壊したために発生した火の粉のシャワーの下での演武&バトルは必見です。まさに滝のように火の粉が降り注ぐ中での"動"のユーロウvs"静"のゲイブの激しい闘い。くあ〜、シビれる〜。
それまでのバトルも素晴らしい出来でしたが、やはりこのクライマックスこそ最高です。


「全く同じ顔の人間がいる」という状況によって、片や傍若無人に暴れ回り、片や状況に困惑し被害を被る、という対比がもたらす哀れみ・同情心は、ゲイブへの応援に繋がります。
信頼する同僚達には狂ったと誤解されるは、愛する妻が目の前で殺されるは……本当にかわいそう。喪失感ばかりが蓄積し、熱い復讐の炎となって燃えたぎる。その時のゲイブの心境たるや……哀れだぁ。
ゲージ満タンまで溜まったフラストレーションは、白熱ステゴロバトルにて発散されるわけですが、それにしたって酷い仕打ち……。


ユーロウの古巣、多次元宇宙捜査局の捜査官ファンチという役で、若き日のジェイソン・ステイサムも登場。ガイ・リッチー監督の『スナッチ』に出演した翌年ということもあり、まだ髪の毛がある珍しい絵面です。
ファンチは助演ではありますが、主役級にフォーカスされて描かれます。
特に、バディを組む上司の捜査官ハリー(演:デルロイ・リンドー)がユーロウに殺された後、ゲイブの世界で生きるハリーがガソリンスタンドの店員として現れるシーンは、中々グッときます。
バディの片割れが死んだ後、そのバディ本人と全く同じ存在の"赤の他人"が現れる。いやー、普通のバディ刑事物では描けない展開です。本作の白眉な点ですね。
ファンチがハリー(ガソスタ店員)に決意表明する流れも、これまで数多く見てきたバディ物が脳内で想起されているせいか、なんだかたまらない……。


はてさて、突如現れた自分(ユーロウ)によって不幸のどん底に落とされたゲイブと、相棒を失いユーロウ逮捕を固く誓ったファウチの急増コンビ。果たして、ユーロウとの戦いの行方はどうなるのか。
是非ご鑑賞いただき、確認してください!
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