Misakey

82年生まれ、キム・ジヨンのMisakeyのレビュー・感想・評価

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
4.5
バリキャリの女性が子どもを産んだあたりでストレスフルになる話。

小説も買いつつ、先に映画を観る事に。

ああ、これはマルモイとは違う方向で多くの人に観てもらいたい映画だ。
こんなに胸をえぐられる話だとは…。
自分もキム・ジョンやチーム長と重なり
ずっと目頭が熱くなってしまっていた。

若い頃、良くして貰った上司に
「女性は普通に仕事しても『女だから』と言われるし
人の倍働かないと『女だから』を払拭できないのは大変だよね。
でも認められると一目置かれるから頑張れ」
と言われて、懸命になった覚えが。
当時は「女性は頑張れないだろう」と思われがちだったからねぇ。

自分も1人目の出産時、あまり状態と環境が良くなかったので
「もう仕事がなくなったらどうしよう」
「人に必要とされなかったら…」
「社会に居場所がなくなるのではないか?」
「なぜ女性だけこんな思いをしないといけないの?」
と、思い悩んで鬱。
それを払拭しようと、子育てしながら検定の勉強をして受検したり…。
映画に出てくる数学を解いているママ友の気持ちがよくわかる。

2人目は会社も変わり環境に恵まれて、
ギリギリまで働いてすぐに復帰できた。
でも周りから「やりすぎ」と言われた。まさにチーム長。
でも、もし本当の意味での男女平等だったら
ここまでやってたのかな…?とも思う。

出産した後の母親はとにかく居場所がない。
今まであった自分の評価が変わる。
仕事をやれば「子どもを置いて仕事するのはどうなの?」という人もいるし
子育てを優先すると職場からは「あてにできない」と言われる。
理解者が近くにいないと辛い。辛すぎる。
だから、子どもを産み育てるのが難しい。
そりゃ少子化にもなるわ。

自分は幸いにも1人目の途中から、本当に素晴らしい保育園に出会った。
初めて子育てに保育士というプロがいるのだと思え、安心して働けるようになった。
「預けられる子は可哀想」ではなく、よりたくさんの人(保育士たち)からの愛情を受けられる。
と園に教えてもらった。

子どもを産む母親が、どんな選択をしても後ろめたい思いをせず
前向きに生きられる社会になるよう
子どもを産んで良かった、産みたいと思える社会になるようにならないとね。

そのために多くの人達にこの映画を観てもらいたい。
もしかしたら、若い人には伝わらないかもしれない。
それでもぜひ観てもらいたい。

子どもを産み育てている人の苦労や思いを共有して貰い
女性や育児をする男性が働きやすい社会になるよう切に願う。
Misakey

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