ジュリアン

82年生まれ、キム・ジヨンのジュリアンのレビュー・感想・評価

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
5.0
棚上げしながら見た。
妹が発する「兄ばっかりずるい」は、彼女が最終的に医学部に進んでくれたから救われた気持ちになったし、会社同期の女の子が同期の飲み会で昇給額に差があることを受けて、「360fbのグルーピングが性差の割合によって影響を受けてるのか不安になっちゃった」と溢していたことに上手く応答出来なかったこと、色んな出来事を想起した。(育休は男性も1年ちゃんと取れるし、昇給額はエンジニア・デザイナーなど職種差の面もあるし、「リベラル」な人が多いという前提を踏まえたとしても)

ジヨンの母親や理解のある男性でも再生産してしまうという登場人物たちの妙な解像度の高さに、暗雲立ち込める棚上げしかできない。一方で、自分の所為がアホらしいほどパセティックでも努めて良く生きようとも思えた。

尤も、規範や制度に向かって連帯できないのはデタッチメントだという指摘は正しい。