香港を代表する俳優アンソニー・ウォンが、無名の新人監督の長編デビュー作にノーギャラで出演しているとあって鑑賞してきました。
アンソニー・ウォンは2014年の香港での民主化運動への支持を表明した為、仕事を干される状態が続いていたそうです。ジュリエット・ビノシュも休日はデモに参加しているし、海外の俳優の政治的な立ち位置を主張する姿勢はすごいですよね。日本だとかつての山本太郎くらいかな。(笑)
監督は脚本執筆の段階からアンソニー・ウォンをイメージして書いたとあって、役にしっかりとハマッてました。彼自身も車椅子生活の母親の介護を10年やっていて、その経験を活かしたそうです。
当初は家政婦エヴリンとのベットシーンもあり、撮影もしたそうですが編集でカット。確かに二人の愛はテーマとして重要ですが、観た限りでは無くて正解だったと思います。
ただストーリーはリアルさを描くあまりか、二人の間の出来事が小出しにされ、感情の流れが見えにくくなっていたのが少し気になりました。
でも他者に貢献することで自分も幸せになるという、アドラー心理学でも書かれていたメッセージは多いに共感できます。
車椅子の中年チャンが家政婦のエヴリンの写真家になるという夢を後押しする姿と、アンソニー・ウォンが新人監督の映画を応援する姿が重なる清々しい映画でした。