時は現代、配線工事の作業員が地下にあったキョンシーの親子の遺体を復活させてしまう。
キョンシーの出没を受け、人間たちはキョンシー捕縛に乗り出す。
親キョンシーは子供キョンシーを逃がし奮戦するが、離れ離れになってしまう。
現代に蘇って離れ離れになったキョンシー親子の悲劇を描いた映画。
これはキョンシー映画の中でも結構異色な作品です。
本作は珍しくキョンシーを物語の中心に据えた作品で、キョンシーとしての怖さは全然なく、キョンシー親子の親子愛を中心に描いている。
本作のキョンシーは完全に被害者で、キョンシーという理由だけで人間から迫害される哀れな存在。
小学生のときレンタルビデオで観て以来でしたが感動しました。
当時は凶暴なキョンシーと道士が激しい戦いをする映画が好きで、この映画つまんねーなーって思ってたんですが、大人になって改めて観ると、こういうドラマ性の強いキョンシー映画もなかなかいけますね。
当時は作品としてはイマイチな評価でしたが、子供ながらにキョンシーの味方になって応援していたのを覚えています。
街のど真ん中にキョンシーが浮かんでるショットはちょっとしたビジュアルショックです。
電車に飛び込もうとしたヒロインを親キョンシーが制して説得するシーンとか、普通の人間と変わりません。
むしろ人間より人間らしいです。
「いいかね、決して人の血を吸ってはいけないよ。赤いトマトジュースを飲みなさい。」とか言っちゃうし。
己の利益の為に人を騙したり、他人を思いやることが出来ない人間が存在するなかで、皮肉にも忌み嫌われるキョンシーが他人を思いやれる存在だったのです。
そういう意味で本作は人としての教訓を教えてくれる作品だといえます。
だけど、物語も後半になるとお日様の下を普通に徒歩で移動し、ついにはキョンシー特有のパンダメイクを落として、血色の良い顔を晒します。
これはもうキョンシーとは言えないんじゃないか?
ちょっとこの辺りは残念です。
またヒロインの自殺を思いとどませたのは良いが、その後のフォローが全くなく、何にも解決してないので、彼女のこれからの人生どうなるんだろうって心配になります。
しかし見終わった後は、只々呆然…。
あと一応殺陣はあるけど、たいしたことはないので期待しないように。
アクション映画としてはかなり物足りないけど、個人的にはそれなりに面白いと思えました。