おもち

フェアウェルのおもちのレビュー・感想・評価

フェアウェル(2019年製作の映画)
3.7
 監督の実体験が基の物語。オークワフィナ主演。
 NYに住む中国系アメリカ人の主人公家族、急に故郷へ帰るとなって理由を聞けばおばあちゃんが末期がんで余命数ヶ月とのこと。病気だと気づかせないために嘘の結婚式を開いて親戚たちが集まり最後の楽しみを送るというストーリー。
 「実際にあった"嘘"に基づく」という出だしで掴みはOK。忙しいアメリカとのんびりとした中国との対比がうまく描かれていた。その文化の違いは死生観にも顕著に出ていて、西洋では隠さずに直球で知らせる、東洋では死ぬとわかっていても最期まで隠すといった感じで主人公のような故郷が2つあるという移民にとってはどうしたらいいんだろうという葛藤が生まれてしまう。「ガンで死ぬ人は、ガンではなく恐怖に殺される」という言葉が印象的で、病は気からという風におばあちゃんは末期がんなのに毎日結構な運動もしてとても元気。おばあちゃんはどこまで自分の身体の状態を知っていたのだろうか。自身も同じことをしただけあって、薄々勘付いてはいただろうし、次は自分の番かと頭の片隅では考えていたと思う。
 そんな内容としては重たいんだけど、鬱々とした感じではなく盛大な嘘もあってか少し明るめな進行なのが独特。もうすでに突入している高齢化社会でこのようなドラマが日常で起きていくのかと考えるととても感慨深い映画らしい映画だった。オススメッ!
 P.S. ハッ!ハッ!
おもち

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