Kawaguchi

フェアウェルのKawaguchiのレビュー・感想・評価

フェアウェル(2019年製作の映画)
4.0
優しいイデオロギーの対立。

作中でアメリカと中国の違いが節々にでてきます。
そのひとつとして、中国では「余命僅かな者に対して、本当の事を伝えない」があるそうです。アメリカ(昨今の多くの国)では、個人の権利が尊重され、本当のこと知らされなければ訴訟に繋がりかねません。

根底には「人は個人だけのものではない。個人は家族の物でもあり、そして社会、国の一部」だという考えがあると作中で語られます。とても社会主義的な考え方です。

アメリカで生まれ育ち、中国に訪れたビリーという女性の小さな違和感「アイデンティティ危機」を映画というフィルターを通して、とても大きな物語に昇華させました。中国とアメリカ、大陸と大陸、そして生と死すらも超越して、あらゆる生き物は結びついているのではないかという世界観を表現しているのではないでしょうか。
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