映画好きの柴犬

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコの映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

3.5
ルーツはどこに

 友人宅に居候している黒人青年ジミー(ジミー・フェイルズ)が、サンフランシスコの高級住宅街の祖父が建てたというかつて住んでいた美しい家を、再び手に入れようとする姿を描く。

 再開発によって住処を追われ、自身のルーツを失ったように感じた青年の、その象徴たる生家へのこだわりを、時に切なく、時に優しく描く。ズームイン・ズームアウトを繰り返すカメラワークや、一見関係のなさそうなエピソードが挿入されたりとか、かなり寓話的な演出が特徴。前半はゆったりとした展開なんだけど、終盤は駆け足な感じでエピソードの関係がちょっと飲み込みづらかった。

 家にこだわるあまり前に進めなくなっている主人公を、支えつつも後押しする友人モント(ジョナサン・メジャース)との関係が微笑ましい。