サトタカ

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコのサトタカのレビュー・感想・評価

3.8
サンフランシスコは昔、観光と仕事で2度ほど行ったことがあるが、街中で男性のゲイたちが白昼堂々抱き合ってキスしてたりしていて、「あ、やっぱりイメージ通りなんだ…」と思ってしまった。今はどうか知らないが、政治家のハーヴェイ・ミルクやヒッピー・ムーブメント(バンドで言うとグレイトフル・デッドやジェファーソン・エアプレイン他)など自由で急進的な街であることはたしかだろう。そのうえ、シリコンバレーにはロックスターみたいな起業家が集まり、全世界を引っ張ったわけで、そりゃ家賃もろもろインフレで凄まじいことになってるでしょう。そんな華やかなサンフランシスコで一緒に暮らす黒人青年ジミー(スケボー好きな介護士)とモント(魚屋勤務の劇作家志望)。2人で一つのスケボーに乗って例の坂道を降ったり、一つの部屋で寝ていたりするので、てっきりそういう関係かと思うとそうではなく、ただの親友。冒頭の不穏な防護服を着込んだ男たちや奇形魚、バス停の全裸男性なども「おっ、何だ何だ?」と思わせておいて平気でそれっきりにしてくれちゃったり、ほんと、人をくったような映画でした。なんかのんびりしてるし。オフビートっていうの?形式にとらわれない自由な表現スタイルで、いいっちゃいいのかもね。色合いはさすがA24で、きれいだし。モントのおじいちゃん役でダニー・グローヴァー(リーサル・ウェポンシリーズやプレデターでおなじみ)が出てきてくれて、懐かしくなった。
実話ベースなんだけど、大人向けの寓話みたいな話で、嫌いではない映画だけど、人に勧めはしないかな。
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