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ラストブラックマン・イン・サンフランシスコのhitomiのレビュー・感想・評価

4.5
Fan’s Voiceのオンライン試写会にて。

美しい構図と興味深い選曲でめちゃくちゃ引き込まれました。単純に好み。
平日の夜にミニシアターでまったり1人で観たい系の作品。

テーマが現地文化に詳しくないと若干分かりにくいので、ぜひいろんな方の感想を読んだり「ジェントリフィケーション」について調べたりするとスッと内容が入ってくると思います。
わたしはたまたまここで先に他の方々の感想をさらっと読んでいたので、物語に入りやすかった。
ただ、「当事者にしか分からない感覚」というものがあるので、「分からないこと」を分かるということも大切だと思う。何も知らずに観るのも初見の楽しみ方としてはありかも。

黒人コミュニティと格差の拡大、地域社会の衰退がメインテーマでしたが、これはもう日本の未来とも言えるのでは?地価が高騰しているのに、中間層以下の賃金は上がらず、富める者たちがより一層富を得る時代は全世界的に起きてるし、日本も例外ではないよね。辛いけど。
欲しいものを欲しいからと手に入れられない現実は辛い。どう足掻いても手に入れられないものがある時代になってしまった。

主人公があの家を求め固執する理由はなんとなく共感できる部分もあり、理想と現実のバランスが絶妙。


Fan’s Voiceのアフタートークも拝見させてもらいましたが、サンフランシスコは全米で最もジェントリフィケーションが酷い場所とのこと。
また、「精神的なジェントリフィケーション」も進んでおり、「自分の居場所」の喪失が進んでいるという。

地元で働き、地元の店・コミュニティを支える地産地消をすることが大事ってよく聞くけれど、それがいかに大切なことかを痛感します。
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