takanoひねもすのたり

ホール・イン・ザ・グラウンドのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

3.2
取替えっ子の伝承がベースにあると思われる母親が息子に疑心暗鬼になるホラー。

引っ越ししてきた家の周囲に深い森、その奥には巨大な穴、森で目を離したすきに消えたサラ(サーナ・カーズレイク)の息子クリス(ジェームズ・コスモ)間もなく彼を見つけ安堵するが、徐々に以前の息子と違いに気が付き違和感を覚えてゆく。

・クモ嫌い(前)→クモをバリバリ喰ってた
・人見知り(前)→友達いっぱい
・食べ方きれい(前)→食べ方が下品
・ひ弱(前)→怪力
・宝物のフィギュア(前)→何それ?
・変顔遊び(前)→何それ?

サラは元夫からDVを受けていたところ今度は息子(偽)から暴力を振るわれて殺されかけるという皮肉な連鎖。

隣人のノーリン夫人の「あなたの息子じゃない!」のド迫力。

ホール(穴)を意識した各カット(排水口等)

超自然現象な何かがありそうな広大な森と開けた草地。序盤に森に散策に行く空に横切る光の軌跡は匂わせ?

どういうオチになるのだろう……?と思っていたら、地底人のような霊体のような何だか把握しにくい存在により、息子が入替っていたというちょいSF要素。

鏡やカメラ越しにみると本質が視えるという設定のようなので、ベースに民間伝承があるのは確かな気がする。
学芸会で歌う歌詞に何処か土俗的なわらべ唄っぽい不穏さがあるし。

地底での格闘時に逃げようとした足を掴むのがサラ自身の顔になってたけれど額の傷跡が無かったことが(ふざけんじゃねぇええ)サラの蹴りがパワー増しになったのかも。

ラスト、息子を取り戻しても確認せずにはいられない不安がほんの微かに落ち着かい余韻。
終始不穏な雰囲気と、徘徊老人の佇まい、そしてただひたすら巨大であるということだけがインパクトだった穴が印象的なホラーでした。