Jeffrey

きんぽうげのJeffreyのレビュー・感想・評価

きんぽうげ(1970年製作の映画)
3.8
「きんぽうげ」

冒頭、いとこ同士のフランスとマーガレット。母の死、別離、美しく成長、ロンドン、2人の間の恋愛感情、咲き乱れる野原でピクニック、建築の勉強、スウェーデン人のフレッド、アメリカ娘のマニー。カップル。今、2週間のスペインへの滞在を通じて、自由奔放な恋愛関係を4人を軸に映される…本作はやっとの思いで国内初DVD化された。それによってようやく初鑑賞した。同じくシネマライブラリーから発売されている「愛すれど心さびしく」の監督であるロバート・エリス・ミラーが印象的に綴る恋愛映画に亀裂が入り始める残酷なドラマだ。

これほどまでに痛々しく描いた青春映画も滅多になく非常に個人的には好みだった。この作品は今の今まで円盤化されていなかった為、幻の映画としてシネフィルの中では有名だったそうだが、この作品もDVDが発売されたことによって伝説ではなくなりつつある。この作品のタイトルにもあるきんぽうげの花言葉を引用すると"清らかな愛"だそうで、それは美しくまばゆい春の輝き、やさしく淡い愛の花輪が揺れ動く青春の光と影をつなぐ時ときと言う、公開当時の謳い文句がすごく印象的に残る。

さて、物語はいとこ同士のフランスとマーガレットがいる。フランスの母の死によって別離を余儀なくされていた2人だったが、美しく成長したマーガレットがロンドンに戻り再会を果たす。2人はいとこ同士のみでありながら、恋愛の感情が芽生えてしまう。ある日、2人はきんぽうげの咲き乱れる野原でピクニックを満喫する。そこへスウェーデン人の留学生のフレッドが来て3人は出会う。彼は建築の勉強をしているようだ。そのピクニック帰りに知り合った米国の女性のマニーとも意気投合し、4人はスペインへの滞在を通じて恋愛関係を楽しむ。だが、そんなうまくもいかない亀裂が生まれる…。

本作は冒頭から魅力的である。とある病院の病室で赤子が看護婦に抱かれる。その2人は後にいとこ同士になる。そして画面にきんぽうげの美しい黄色の花が黒い背景に咲き、タイトルロゴが写し出される。続いてカットは母の死の葬儀の場面へと変わる。赤子が成長し子供になっている。男の子は涙をし、それを見かねた女の子はそっと手を握る。続いては汽車に乗ろうとする学生になった2人の描写に変わる。

2人は手を繋ぎ、女の子は男の子の頬にキスをする。そして女の子は列車に乗りロンドンへと行く。そのままカメラは2人が大人になる描写へと変わり、列車の窓の外と内で互いの手を合わせる静止画になる。カメラは美しいとロンドンの街並みを捉える。 2人は再会し車から降りてくる。そして美しい川がある草むらの道を歩き、川に浮かぶ小舟に2人は乗る。小舟を漕いでくれる男性が2人に興味津々の様にどういう関係か聞く。フランスはこういう事情だと答える。そしてきんぽうげの咲くところに座って花を積むマーガレットの描写、船を漕ぐ男性が自殺すると言ってわざと川に飛び込む描写、愉快な音楽と共に楽しいひとときを過ごす。

急に雨が降ってしまい、急いでその場を立ち去る2人、だが雨は一旦止み、洋服に着替え2人と船を漕ぐ男性(建築の勉強しに来たスウェーデン人のフレッド)とドライブしに行く。そこで車にひかれそうになったアメリカ娘と出会い、彼女を含めて4人で食事をしに行く。そして彼ら彼女らは旅行しに行く。そこは自然に囲まれて庭にはプールがあり、飛び込み遊ぶカップル達、部屋ではベットに寝込むマーガレットの姿、外ではアメリカ娘とフレッドがプールで遊んでいる。

続いてスペインの都会のほうに行き、馬に乗りながら自然を満喫してテラスでドリンクを飲む。楽しいひと時もあっという間に夜になり、寝室で本を読むフランス、蚊が逃げていかないと戸惑うマーガレット、それをフレッドが優しく手伝う。



翌日、街の屋台に行き、果物などを買いに行くカップル、コテージに残りくつろぐカップルの描写が映される。そして川辺では性行為をするフレッドとマーガレット、プールサイドで読書するフランス、旅行の最後の夜にとのことで、みんなでディナーに行き語り和む。そしてその場でフランスがアメリカ娘にキスした事により徐々に関係が危うくなり、4人に亀裂が入る…。

そして翌朝になり、荷物をまとめて街をめぐるフランスとマーガレット、部屋の中で風呂に入り体を洗うフレッドとそのそばにいるアメリカ娘。別行動し始める。そして二組のカップルは楽しいひとときを過ごすのだがクライマックスでは………と意味深な言葉を残して簡単に説明するとこんな感じで、この度初見したけどわりかしよ良かった。と言うのも、なかなか重たいラストだった。個人的にはシリアスな映画は好きなのでよかった。



この映画は案外すごくて、取り替えっこするカップルの恋愛が映されているのだが、こんなこと日常ではめったにないことだろう…というかあったらうまくいくはずがないと思う。この日はこの女と、この日はこの男と、と言う具合に展開される恋愛がすごい印象的だ。また2人で1人の女性の体を洗ったり、それを隣で絵を書きながら普通に会話する女性ってこんなメルヘンてゆうかこの世の中、悪いものを全て取り払ったかのような理想的な空間が凄いぁと思う。

それにアクシデントによって〇〇になってしまうのはありきたりだが、まさかこういった結末になってしまうとは想像しなかった。これはお勧めできる。
Jeffrey

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