エイデン

HUMAN LOST 人間失格のエイデンのレビュー・感想・評価

HUMAN LOST 人間失格(2019年製作の映画)
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昭和111年6月7日
半世紀前の遺伝子操作、再生医療、ナノマシン、万能特効薬の4大医療革命“GRMP(グランプ)”により、医師すら必要としない“無病長寿大国”となり世界一のGDPを誇る日本では、100日後 120歳を超える第一世代の人々を祝い、年金1億円を支給する“合格式”を迎えようとしていた
その一方 環状道路を境とした上流階級が住む“インサイド”とそれ以外の労働階級が住む“アウトサイド”では貧富の差が拡大
アウトサイドではインサイドがばらまく大気汚染物質の影響を受けぬようガスマスクを付けた人々が19時間を超える過酷な労働に明け暮れる日々を送っていた
健康保障機関“S.H.E.L.L.(シェル)”で広報官を担う美子は、シェルを隠れ蓑とした秘密国家機関“ヒラメ”の任務で、その特異な能力“アプリカント”を用い高田馬場にて“ロスト”と呼ばれる現象を観測する
ロストとは全国民が繋がる“ヒューマン・ネットワーク”から外れてしまい、GRMPが暴走することで人間を異形の怪物“ロスト体”へと変貌させてしまうことで、澁田所長が率いるヒラメはロストに対処し、ロスト自体を人々に隠匿するために組織されていた
高田馬場にて観測されていた人物も間もなくロスト体へと変貌、すぐさまヒラメの実行部隊隊長 厚木が指揮する部隊により鎮圧、一般には爆発事故として発表されるのだった
アウトサイド、横浜市野毛エリア
場末のバア“メロス”を訪れた暴走族“イチロク”のリーダー竹一と、彼に助言を与える知的な男 正雄は、竹一の友人でメロスの2階に居候する絵描き、葉藏の元を訪れる
薬物に溺れる葉藏は人生に絶望しており、薬物の過剰摂取により自殺を遂げていたが、竹一は慌てることもなくシェルに連絡を取り、遠隔でナノマシンによる自動修復を実施させ、彼を蘇生させる
竹一と正雄に誘われた葉藏は、イチロクの集会へとやって来る
竹一はシェルによりナノマシンを入れられて管理され、インサイドのために働くという生き方を不快に思い、正雄の協力を得ながらインサイトへの突貫を幾度となく試みていた
この日もインサイドへと通じるレインボーブリッジへ向かい、侵入者を阻むゲートを車両に乗せた爆弾で破壊する計画で、新たな突貫を試みる竹一は正雄に薬を貰うと、仲間たちと共にバイクを走らせる
そして誘われた葉藏も、同じく正雄に薬を貰って後を追う
しかしその最中 予想もしない事態が発生し、葉藏の運命は大きく動き始める



3DCGで製作されたオリジナルSFアニメ映画

太宰治の『人間失格』を原案に、自由すぎる解釈を加えた作品
原案と言っても諸々の固有名詞に元のキャラクターなどの名前が流用されているのみで、あらすじからもわかるように、かなり突飛なイロモノと成り果てているので、この時点で原作ファンからは一過言ありそう
大庭葉藏が自傷行為で変身するダークヒーローになったと知ったら、太宰治もひっくり返ると思う

ディストピア社会を描いており、不老長寿により合格者となった人間達に対し、人間らしさを求める人々
完璧な人間が作る社会に対し、刹那的で不条理な人間の生き様に未来を夢見る反骨心に溢れる物語であり、社会から逸脱しながらも正しく未来を夢見る葉藏を失格者として、壮大な戦いを描いたロックな作品
とは言え何がどうオマージュされてるのかも、もはや理解が追いつかないけど、人間失格のパワーでバトる終盤を観るに、もはや何も考えずスタイリッシュなアクションを楽しむべきなのかもしれない

そんな形で、変に『人間失格』に引っ張られすぎている気もするけど、SFアクションとしてはそこそこ楽しめるので観ましょう
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