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劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さんのNMのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます


ずっと疎遠だった親子が、改めて親子になる物語。
絆を一から作っていく様子は作品のみどころ。全編FFのごり押し宣伝をされるのではという疑いは杞憂だった。ゲームに興味がない人でも問題なく楽しめる内容。家庭で一度でも寂しさを感じたことのある人ならよりお薦めできる。
もちろんFFを全く知らないよりは感動が強くなるだろう。
あとはインターネットや共通の趣味などを通して育む人間関係や居場所の作り方などについても考えさせてくれる。
FF(特にこの14)の主人公は光の戦士なるもので、ゲームをプレイする人たちのことも界隈ではそう呼ぶ。タイトルは、父親がFFをやるということを指している。

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「たびだつのだ ひかりのせんしたちよ!」

メーカー勤務の父は仕事一筋、家庭では無口。
仕事に邁進し、単身赴任の期間も長きに渡った。休日も接待ゴルフ。ほとんど家にいなかった。
それが、昇進を目の前にしたある日、突然仕事を辞めてしまう。
あの父が。一体なぜなのか。

家族は不思議に思ったが、それぞれに用事もあるので父をかまってやらない。
母と妹は明るく陽気な性格。

社会人である長男アキオだけは特にいぶかしがる。
アキオは子供の頃から父と接する機会がかなり少なく寂しい思いをしてきた。その父が急に仕事を辞めるとはただ事ではないはず。
ただ今さらどう接していいか分からない。
長らくまともに話したこともない。

アキオの趣味はゲーム。子どもの頃からFFシリーズをやり続けている。幼いころ父がファミコンソフトを買ってくれたのがきっかけ。
あの時父もFFに触れてみた。すると普段話さない息子と初めてふれあいの機会ができた。
しかしその頃父はさらに仕事が忙しくなってしまう。
アキオは父と、今度一緒にボスを倒しに行こうと約束したが、その後一緒にプレイすることはなかった。アキオは一人でボスを倒した。

時代は変わり、XIVはMMO(オンラインで他のプレイヤーと交流できるスタイル)へ。
実際の名前も性別も職業もここではどうでもいいこと。だからこそ仲間と本音で接することができることも。

アキオも仕事から帰ると、FF仲間とバトルやおしゃべりを楽しむ。父のことで悩んでいることも彼らになら話せる。
そこでアキオは思いついた。
今や時間のある父にもFFをやらせ、正体を隠してゲーム内で近づけば父の本音が聞き出せるのではないか。父がどんな人なのか少しは分かるかもしれない。
名付けて、光のお父さん計画。

早速、退職祝いとしてプレステとXIVソフトを渡した。
予想通りリアクションは特にない。

だが数日待つと、居間のテレビにプレステを接続しようとしている。
慌てて手伝うアキオ。
家族も集まり、キャラクリからわあわあと盛り上がる。
アキオは嬉しくてたまらない。
この計画を知るゲームパーティーの仲間にも報告。みんな応援してくれる。

父はお遣いクエストをこなし徐々にゲームに慣れていく。
アキオも偶然出会ったふりをしてフレンド申請に成功、パーティーに引き入れた。
最初こそぎこちなかった父だが、数日するとゲーム内では別人のように明るい人物になっていた。
MMORPGの良さを早い段階で全部味わうことができ、アキオの予想以上にドハマり。
いつもパーティー内で一番張り切っている。

アキオと父も徐々に距離が近くなっていった。
たまに仕事のことや家庭のことを少しずつ相談しあい、最小限の助言だけをしあった。

父はゲームに居場所を感じられるようになり、もっと楽しみたいとアキオに語った。
アキオは最強ボスを目標にしようと提案。その日からみなボス戦に備え始めた。

いよいよボスに挑む日、父は突然倒れ搬送されてしまう。表情は苦痛に歪んでいる。
アキオも会社を早退し病院に駆けつけた。
診察結果は以前本人に伝えてありますと医師は言う。
会社を辞めた理由をやっと知った家族。
アキオはショックを受け、ゲームなんかやってる場合じゃなかったと自分を責めた。

医師の説明を受けたのち、家族が父の病室に面会に行くと、父の姿がない。
なんと父はボス戦に参加するため、約束の時間にマンガ喫茶に入っていた。
アキオは父がログインしていることを知り、急いで家に帰りとにかく自分もログイン。
父は事情などは一切語らず、絶対勝ちましょう!と鼓舞。

一丸となって戦い、ついに勝利。
そして父がみんなに伝える。
明日からログインが減ると思う。僕病気なんです。
仕事を諦めるしかなくなって自分の役割がなくなったような気分でいた、でも世の中には色んな居場所があると知った、今からでも家族と向き合ってみる、そして病気とも向き合う、と。

アキオは、帰ってきて みんな待ってるから、と正体を明かす。
父は驚いたが、やっと一緒に倒せたな、と返事。あの約束をずっと覚えていた。


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ff14はこのように仲間とともに行動してもいいが一人でプレイしても楽しめるゲーム。必ずしもおしゃべりしなくてはならないゲームではない。
ただこのお父さんのように、実際の自分とは違う面がゲーム内で出てくる、出せることも多々。
このケースのように頻繁に集合する仲間には、ログインが減ったりする予定がある場合、他の人が、彼は辞めたのか、パーティーから外していいのか、困らせることになるので、予め伝えておくことがよくある。
発売から10年以上経っても未だにプレイ人口が多数、新しいストーリーも発売され続けているモンスタータイトル。
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