映画好きの柴犬

もみの家の映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

もみの家(2019年製作の映画)
4.0
近くて遠い親子の距離

 不登校になり富山の自立支援施設「もみの家」にやってきた少女(南沙良)が、周囲の人たちとの出会い・別れ、自然との触れ合いの中で立ち直っていく様子を描く、ヒューマンドラマ。

 「真白の恋」に続いての坂本欣弘監督×北川亜矢子脚本。これも素晴らしい。気を衒わず、無理に話を広げず、丹念に優しく紡ぐ少女の成長と自立。そして、ここでも話の発端は親子の距離感。常に先回りして気を回す母親の近すぎる距離感が、ちょっと重荷になって心のバランスを崩しちゃったのかな。命の誕生と別れを経て、母の思いに気づく。

 主演の南沙良は「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」と近い役柄だけど、ナイーブな自然体の演技がいい。「もみの家」寮生の中田青渚も、脇役でちょいちょい見かけるけど、結構いい仕事してる。