リーアム兄さん

TENET テネットのリーアム兄さんのネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

【好きなセリフ】
ニール「起きたことは仕方ない。この世界の理だが何もしない理由にはならない。」

CIA工作員の「名もなき男」(ジョン・デイヴィッド・ワシントン)はキエフにて「プルトニウム241」を盗み出したCIAスパイ救助の任務後、第三次世界大戦を阻止することを任務とした「TENET」という組織にスカウトされる。実は「プルトニウム241」は未来で作成された時間を「逆行」させる装置のアルゴリズムの一つであり、それを過去(すなわち現在)で使用されることで世界が破滅に向かうという未来人の企みを防ぐために「TENET」は活動しており、主人公である「名もなき男」も現在で未来人と共謀しているロシア人武器商人セイター(ケネス・ブラナー)と時空を超えた戦闘を繰り広げる。過去と現在、未来が混在する世界で、「名もなき男」は第三次世界大戦を防ぐことができるのか。また、謎の組織「TENET」とは一体なんなのか。

これぞクリストファー・ノーランという映画。これまで「バックトゥーザフューチャー」や「ターミネーター」など、現在の世界に過去や未来が混ざり合う設定の映画は多々公開されてきたが、人やモノという単体が過去や未来の世界に入り込むというレベルではクリストファー・ノーランは満足せず、それを凌駕する世界の時間軸そのものをイジるという変態的脚本を制作してきた。
高偏差値の映画すぎて全てを集中して見ていても、理解が追いつかない…
どうしてこんな話を思いつくことができるのか…

めちゃくちゃ難解な映画ではあるけど、見ていくにつれて映画序盤で「?」となっていた部分がゆっくりとわかるような作りになっていて、見ているうちにどんどん点と点が線になっていく感覚になる。
とはいえ、最後まで見続けても謎のままの部分が多く、観客に考察させ、一人一人がさまざまな解釈をするところまでが「映画」としているような内容になっていて、この一本でたくさんの映画好きが考えを巡らせているというのがクリストファー・ノーランの手の上で踊らされてるっていう感じがしてたまらん。

結局この映画のタイトルになっている「TENET(意味:信条)」という言葉も謎のままに終わる。部外者を傷つけないという「名もなき男」の「信条」や「起きたことは仕方ない。」というニールの「信条」は一貫して作中で表現されているものの「時間を逆行させる」というこの映画のメインテーマと繋がるようなことはなく終わってしまう。時が変わろうと人間の信条はそんなに用意には変わらないというメッセージなのだろうか?

こんだけ壮大なテーマでザ・SFという設定にも関わらず、CGに頼らないというのもクリストファー・ノーランのすごさ。飛行機をぶつけるシーンも実際に退役した期待を購入して倉庫にぶつけたそう。

脚本も撮影方法も全てにおいてぶっ飛んでる、まさにクリストファー・ノーランという映画でした。
もはやそれしか言えません。