緑雨

TENET テネットの緑雨のレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
2.8
ノーラン自身が『メメント』でやった順逆の時制のコントロール、それを別々の流れを再編するに留まらず、一つ時制、一つの画面に統合するというチャレンジングな試み。

アイデアとしてはとても面白いし、映像としてもまあ悪くないのだが、その世界観を合理的に成立させるために、膨大な「理屈」が盛り込まれる。で、それが故に作品全体が極めて説明的になってしまっている。アクションシーンを除くと、説明台詞のダイアログばっかりだ。要するに、その合理性を直感的に伝えるまでに昇華できということ。個人的には、後から解説書を読まないとロジックが腹に落ちないような作品を「映画」として高く評価する気にはなれないのだよな。

オープニングは、キーウの国立オペラハウス、まさかその頃ウクライナがあんなことになるとは思いもせずの設定だと思うが、それだけで背筋がピリッとする。

主演ジョン・デヴィッド・ワシントンは元NFL選手で運動能力は極めて高いはずだが、何だかもっさりして見える。超絶スタイリッシュなエリザベス・デビッキと並ぶとなおさら。

オスロ空港での貨物機大炎上、トラックと消防車での挟み撃ちなど、アクションシーンはなかなかの迫力なのだが、とにかく劇伴がうるさい。強迫観念に囚われたかのように、全編にわたり劇伴が鳴り続ける。
緑雨

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