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TENET テネットのNMのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
3.7
2020年の作。
アクションだけが題材の作品ではない。時間がテーマの一つ。ちゃんと観ていないと置いていかれる、大人向け作品。
時間を行ったり来たりしていくうちに、ああこれはこういうことだったのか、この人だったのか、という驚きの展開が続く。
私には正直なかなか難解で一度で理解しきれた気がせず、すぐに二回目を観始めた。
主人公はエリートCIAの割りに実はかなり情に厚い男。冷酷な判断は苦手なようで、いざとなるとつい人命を優先してしまう。表には感情を出さないがその抑えた表現が魅力的な主人公。自然と応援したくなる。
個人的に気になったのは、ヒロイン役女優は背の高い知的なクールビューティーなのできっと彼らの味方としていざという時活躍するのだろうというミスリードがあるように感じた。勝手に勘違いしたのも悪いが、実際はごく普通の人間でピーチ姫的役柄だったので肩透かしに感じてもったいないと思った。

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ウクライナ、キーウ。
満員の国立歌劇場で今まさに演奏が始まろうという時、舞台上に武装集団が現れた。

程なく突入する大勢の制圧部隊。

そして彼らとは別に、駐車場でずっと待機していたらしき謎の数人グループ。
指示役二人から「アメリカ人」と呼ばれている後部席の二人にGOサインが出された。
二人は車を降り、しれっと制圧部隊に混じる。

制圧部隊は会場にいきなり催眠ガスを投入。これはモスクワ劇場占拠事件を想起させる。チェチェンの独立を訴えた武装集団にプーチンは聞く耳を持たず催眠ガスを使い部隊を突入させ、観客らにも多大な犠牲者が出た事件。不特定多数にいきなり強力なガスを吸わせれば様々な体質体調の人がいるなか命の保証はあるわけがない。
この制圧部隊も観客の生命など気にかけているように見えない。観客は瞬間的にその場で深く眠り込んだ。

先程の髭の主人公はVIP席にたどり着き、合言葉を交わして仲間の男性を連れ出す。彼は重要人物に成りすましスパイ行為をしていたらしいが、それが中断という判断になったようだ。
「荷物」はクロークだ、と会話する。
髭の男は、このテロは偽装だと彼に教えた。混乱に乗じてこの荷物と重要人物を安全に連れ出すのが目的らしい。
髭の男はクロークまで行き荷物を入手。そこまでする必要があるヤバそうな「荷物」。

この人物と数人で脱出の準備。偽部隊の一人は彼と服を交換。
武装集団はもう見当たらない。

ここで髭の男は、制圧部隊が観客ごと爆破させるつもりであることを知る。
思わずあちこちに設置されていた時限爆弾を拾いはじめた。
それを制圧部隊の一人に見つかってしまうが、別の男が助けてくれた。
顔は見えなかったが彼は何者だろうか。
彼の銃痕は奇妙な挙動をしていた。一体。

髭の男とその仲間が車に戻ると、話が違うと指示役に殴られる。
拘束され拷問に合う二人。相方は倒れた。
髭の男も、情報を話せと歯を一本ずつ抜かれている。
隙を見て最後の力を振り絞り、自決用カプセルを飲み込んだ。

ベッドで目が冷めた。
昏睡のあいだに口内は治療されていた。自決カプセルはただの睡眠薬だったらしい。
目覚めた彼のそばに見知らぬ男が立っている。
テストだった、と彼は語る。君は仲間のために死を選んだ、と。
合格者(生存者)は君だけと聞き、男は静かに涙を落とした。

男は一体何に選ばれたのだろうか。
そして彼を待ち受ける人類の存亡を掛けた未知のミッションとは……。


メモ
ホイットマン……アメリカの詩人。超越主義から写実主義への過渡期を代表する。
フリーポート……自由港。経済特区。税制優遇、通関手続の簡素化、財政支援などを受けられる。超富裕層が財産を隠す場所といわれる。
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