ーcoyolyー

TENET テネットのーcoyolyーのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
3.8
クリストファー・ノーラン版007といった趣で面白かったです。エリザベス・デビッキ完全にボンドガールの文法で撮られてたし。(追記:これ書いた後にノーランのWikipediaページ見て007シリーズのファンだと知った)

逆行とかなんだかその辺のあれこれはどうせいつものノーランお得意の相対性理論だろ?以上のことはものすごく大事な話でしょ、という態度で流してた。それでも充分楽しめる親切設計がクリストファー・ノーランの真髄だからいいよね。色々しちめんどくさいことちゃんと計算して作ってるんだろうけど、そういう緻密な設計をした上で娯楽大作に振ることができるのがノーランだもの。いいよね。結局は逆回しの画超楽しい!っていうジャン・コクトーとそんなに変わらない初期衝動があってそこに後付けで理論武装してく感じなんじゃないかって思ってる。なのに娯楽と理論が両立してるの黒澤明並みなんじゃないかなって。難しいこと掘り下げたい人はいくらでも行けるけどそういうのどうでもいい人もどうでもいいなりに楽しめるの両立させるのがノーランの才能の最も秀でた部分だと思うからこのまま行ってほしい。

ただ私に言っておきたいのは、わーこのバディ感、『ブラック・クランズマン』と近い匂いがする!ってそれ当たり前ですよ。何故なら主人公が同じ人だから。フレッシュマン黒人とまだ少し青臭さが残ってる白人のバディ感、あの時のアダム・ドライバーと組んでた役者さんみたい、ってある意味鋭いんだけど同一人物だからね。忘れないようにしましょうね私。ジョン・デヴィッド・ワシントンはハリウッドのみんなのバブちゃん扱いなんだろうか、スパイク・リーもクリストファー・ノーランも似たような眼差しで(背後に感じるお父さんにビビりつつ)見守っているような気がする。

あと冒頭ウクライナでロシアが絡んでくるじゃないですか。この設定もうこんな安易に使えないよね、現実が現実だから。何かというとナチスやロシアをフィクションで安直に敵役にすることが現実にどういう影響を及ぼすかはもっと考えた方がいいんだと思った。
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