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TENET テネットのとものレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.2
赤と青のクラッシュ

ウクライナでテロ事件が勃発し、出動した名の泣無き男。その後、「時間の逆行」を扱う未知の敵と戦うミッションと、未来を変えるという謎のキーワード「TENET」を与えられた彼は、第3次世界大戦開戦の阻止に立ち上がる…

ノーラン作品はほとんど映画館で観てます。今作も有休取って気合いを入れて観てきました。
ノーラン作品って設定がすごく凝っているので、初見では「ん?今のどういうこと?🤔」と理解しきれないところも出てきます。

けれども"そんな細けぇことは今は気にするな!by ノーラン"と言わんばかりの勢いのあるストーリーと圧倒的な映像と音楽で彼の世界観にすぐに引き戻されてしまいます。
そして映画を観たその夜、ベッドに入ると思い出してきて「あそこはどういう意味やったんやろう?」と悶々としながら考えるのが、これまた面白いのです。

家に帰るまでが遠足であるように、その日眠りに就くまでがノーラン映画なのだと僕は思います。

前置きが長くなりましたが、ここからTENETの話。
これまでの作品の中でも難解な部類やと思います。ただ難しいとの前情報でかなり身構えて観たのと、途中で出てくる「?」も後で補足してくれたり、頭の中で補完できる作りになっていたので、割りと理解出来ました。それでも?が残るところはありますが。仕事並みに頭使いました…
エントロピーをこんな使い方する映画なんて他には知りません。

映像としての見所はやはり時間の逆行シーン。過去の地点に戻るだけのタイムスリップとはまた別物で、動きも加わり逆になります。「それ、ただの逆再生やん!」になっていないのがノーラン節。順行と逆行を同一シーンで見せるので、脳が何とも言えない刺激を受けました。高揚感がすごい。
色の使い方も良かったです。「わかりやすくしといたろか?」なノーランの優しさが染みます。

そしてノーランらしい重厚な音楽。あの重低音は彼の世界への入場音ですね。身体に響き渡るその音に、僕の脂肪はブルブルと震え、少し痩せたかもしれません。コロナ太りした方はノーランダイエットいかがでしょうか?笑

私事ですが、昨日30歳の誕生日を迎え、本作が30代最初の作品となりました。映画館で観る映画の醍醐味を再認識させてもらえた作品となりました。僕は時間の逆行は出来ませんので、40代に向かってこれからも映画を観まくろうと思います。
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