【少し長文に成ります。】
【1】追体験
最初の鑑賞(ユナイテッドシネマ・キャナルシティ博多)
クリストファー・ノーラン監督、最新作。ほとんど予備知識無しで鑑賞。「インターステラー」、「インセプション」は大まかには、最初の鑑賞で理解出来たのだが、本作はとっても難解だった。
「エントロピーの崩壊」の逆方向という設定は、まだ受け入れられたが、逆行する銃弾が過去を破壊するとか、わけが分からなかった。過去が破壊され、変化すれば現在や未来も変わるわけで、その変化した現在とかから、過去を変化させる
必要は無い訳で、まぁ世の中多元宇宙すぎるな~( -_・)?などと、無い知識で鑑賞後に考えた。まぁ文系出身のオレの科学知識ではまず理解不能。
映画を理解するには、聖書の他に、物理学の知識が必須になってきたのかな?
娯楽映画の範疇なのに。
良かった点。逆進行のアクション画面が気持ち悪くて、更に、倒れた敵の男が、腹を向けた黒い蜘蛛が後方に進行するような動きが、生理的に無理で、身体がゾワゾワした事。本当に自分の静脈が逆流した感覚の、体感と違和感だった。それは、サイレント映画に於いて、初めてフィルムの逆回転の画面を観た観客の、さざめきをリアルに、追体験できた様であった。
そして、初めて観るかの様な、カーアクションの逆回転も新鮮だったな。
ただし、撮影機で同時に写せる程度の空間で、順行の世界と逆行の世界が、整然と同時進行できるのかは、謎だったよ。
と、ここまで書けたのも多少、パンフレットを読んだ後だからかも知れない。
時間を逆行すると、思った以上に映画が、難解だったので、パンフレットを買いに。ところが、キャナルシティの劇場では、売り切れで、帰り道の博多駅、フリーで入れるT-JOY 博多の売り場で購入。パンフレットをチラ読み。再鑑賞を誓い、youtubeのネタバレ無しの、レビューを2つほど観る。
【2】考えるな、感じろ
格別に難解と言っていたので、
ちょっと安心した(^_-)
「考えるな、感じろ。」2つのレビューは、どちらもそう言っていた。ブルース・リーかよww
パンフレットを軽く読んでみても、複雑だったので、じゃあブルース・リー・アプローチで観ようと決意。こっちの方が得意だよ、オレ。
2回目の鑑賞(翌午前、ユナイテッドシネマ・キャナルシティ博多)
同映画館で開催中の、アジアフォーカス福岡国際映画祭、KBCシネマの『海の上のピアニスト イタリア・完全版』を横目で見ながら、忙しい(>_<)
独自に解釈出来ました。
きっかけは、酸素ボンベです。
逆行の世界に、酸素ボンベは有効かなっていう疑問からです。逆行の世界は吐いて吸うわけですから、同じ、酸素ボンベなどいらないのかもしれません。或いは、其こそ血流も逆流する訳ですから、
呼吸は不可能なのかも。或いは、巧く表現出来ませんが、長いセリフを逆回転して聞いた場合、聞き取れない奇妙な音声になってしまいます。逆行の世界の中、酸素ボンベなら、呼吸出来ると言う発想は、クリストファー・ノーランにしては安直すぎると感じました。
ならば、酸素ボンベを映画の記憶、映画的な意匠と捉えました。
高身長で抜群の美女、人妻の役である、エリザベス・デビッキの魅惑的な美脚で終わるカーチェイス、悪を煮詰めたような男、順行と逆行の世界がガラスに隔てられた下、赤と青のネオンに照らされた立体な淫靡な色感、何度も繰り返えされる倒錯した殺人、そして、酸素ボンベを背負ったマスク姿の男。
エリザベス・デビッキが、イザベラ・ロッセリーニに脳内で変換が出来て来ました。
そう、この映画は、デビット・リンチでもあるのです。極めて誇大妄想的なクリストファー・ノーラン流犯罪映画『ブルーベルベット』(1986)。
ラストシーンの母子ともに健在という、描写も、『ブルーベルベット』に呼応しています。
観客はクリストファー・ノーラン作品だから、自然と、物語全体の整合性を求ると思います。
ところが、デビット・リンチ風の不条理な作品世界であると解釈した場合、様々なこれまで観たことのない、アートな瞬間に出会う事が出来ます。正に「考えるな、感じろ」のアートな美術館だと思えます。そして、この視点から俯瞰すれば、この映画は同じくリンチの『インランド・エンパイア』(2006)等よりも、容易な難度になって来ます。
【3】信仰
さて、(1)『ブルーベルベット』仮説を精査するために、例えば耳は何にあたるのか、(2)或いは、パンフレットに基づいて、ひとつひとつのシークエンスの意味合いや整合性を吟味する等の、3回以上の鑑賞が、ノーラン作品の楽しみとなって来ます。
まぁ3回以上の劇場鑑賞が、ノーラン教信者かどうかの「踏み絵」だといえますねo(^o^)o
オレ的には、この作品は、視覚的に『インターステラー』或いは『インセプション』までもの訴求力が無いので、今回も信者に成れないかと思います。
この映画の始まる直前に、ヴィルヌーヴ版の『デューン 砂の惑星』の宣伝が流れていました。この原作はデビット・リンチも過去に映画化していて、オレの意識化の何かに、共鳴・共振して、ヒントと成ってくれたのかも知れません。世の中は、不思議なテネット(法則)に溢れています。
【あとは、推敲です。】
【ご一読、ありがとうございます♪♪】
【さて、皆さまのレビュー拝見します】
【アマルフィ♪はいつも美しいです】
【耳はキエフ国立歌劇場かな
内部が貝殻状に成っているので】