カプチンバード

TENET テネットのカプチンバードのネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

起こってしまったことは仕方ない、しかし何もしなくていいわけではない。=黄昏に生きる、宵に友はないのだから。

映画はオーケストラから始まる。まさしくエントロピーの小さい秩序だった世界からというわけだ。そしてテロという混沌へ観客を誘う。エントロピーが増大していく。

ストーリーはこうだ!
9つに分解されたアルゴリズムを集めて爆発させると神龍が現れて人類が滅亡するドラゴンボール的な話だ。
神龍後の逆行世界では普通の世界の人が呼吸困難になっちゃう的な終末が訪れちゃう。これを阻止するために彼とニールは奮闘する。
それ祖父殺しのパラドックスにハマるんじゃ…と思うけど、ニール云くそうならないらしい。

勝手なイメージなんだけど、影響を及ぼす根っこに辿り着くために、枝分かれする部分にたどり着いては上書きして、それをさらに上書きするやつが現れる。
時間のマウンティングの連続で今、目の前にいる人が本当に今の時間を生きてきているのか?彼はどこから来てどこに行くのか?自分は自分の今を生きているのか?わからなくなっちゃう。

でも、ちゃんとタイムリミットはあって、逆行の滝が押し寄せるまでに何とかしないといけない。
セクターという時間の悪者が起こす終末的な時間逆行の滝に抗うことができないからだ。

このタイムリミットを作っているルールが1日逆行するためには1日過ごさないといけないってことだ。
エントロピーの増減は増えるのと同じスピードで減少が発生するということなので、タイムリープとは違う。
だから未来に行くことはできないんじゃないかな?(普通の時間を過ごす以外)

「ああ〜あの青春時代に戻りたいなぁ〜」と鼻くそをほじりながら思うなら、それと同じだけの時間を過ごさないといけない。たぶんその間ずっとエアキャップの中で過ごさないといけないからめちゃめちゃ暇だ。
戻っている間、細胞もエントロピーの影響を受けるはずだから若返るのかな?と思ったけど、たぶん若返らならいんだろうな。若返っちゃったら、お腹の中に戻っちゃうもんな。このへんは時間をどう捉えるかで決まってくる。
つまり青春時代を取り戻そうと思っても、おっさんの姿で戻ることになるから、あまりお勧めできない。

…だとしたらセクターさん歳のわりに老けてるのかな。2008年の事故の時にドラゴンボール掘り出した時が10代だから、浦島効果とかあるんだろうか?てゆうかそもそも時代設定いつなんだろう??

TENETたちは時間を遡りながらどの部分にピンポイントで戻っていくかを見極め、最初テロとベトナムの海上とスタルスク20爆発(アルゴリズム完成)が揃う時に時間挟撃作戦を決行する…。
この作戦のキーを握っている人物は「終わりの始まり」を主人公に言いつけて最後の任務に戻る。

TENETたちの合言葉の「黄昏に生きろ。宵に友はなし」は、同じくノーランのインターステラーの「穏やかな夜に身を委ねるな。怒れ!怒れ!消えゆく光に。」と同義だと思う。
同じく近未来の終末は現在の延長で、君たちはどう生きるか?っていうノーラン監督からの挑戦状なんだなぁ〜と思いました。

ちょっと声出して笑っちゃったのが「これから飛行機突っ込んでくるよー」の時に、彼が息を吐いて肺に酸素が入るようにしているときに、ニールが「ヨガだ」って言うシーン。
ノーランさんなりのジョークが変なタイミングでツボに入ってしまって大変でしたよ。

最初勘繰りすぎて「ニールってキャサリンの息子が大きくなって、お母さんを救いに来たのかな?」とか思ったけど、たぶん違いますね?

…ここまで書いといてなんだけど、インターステラーの方が好き。
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